【コラム】:消極損害その2 後遺障害逸失利益(9)

2022-01-07

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その2 後遺症による逸失利益(9)
2.基礎収入
(3)無職者
  ① 高齢者
就労の蓋然性があれば,賃金センサス学歴計男女別全年齢平均を基礎収入として逸失利益を請求することができます。

・ 固定時85歳,1級3号,2年後に死亡につき,徘徊傾向を伴う老年期性痴呆の既存障害を9級10号とした上で,労働能力喪失率は1級と9級との差65%とし,賃金センサス女性学歴計65歳以上の80%を基礎とした。
・ 長男が経営する医院で日常清掃業務に従事していた被害者,固定時80歳,1級1号につき,身分関係等を考慮し,月額20万円の給与の50%を超える部分は贈与であったとして,基礎収入を決定した。
・ 定年退職後具体的な就労予定のない高卒単身者,固定時66歳,併合7級につき,事故当時,両親の介護をしていたほか,ホームヘルパーとして稼働することを考え介護保険法施行令所定の研修を修了していたこと等に照らし,就労の意欲及び能力はあったとして,賃金センサス男性高卒65歳~69歳平均の7割を基礎とした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に逸失利益は,賠償項目の中でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で請求することが大切になります。
 無職者のうち高齢者の逸失利益については,就労の蓋然性があれば請求できますので,適正な基礎収入で逸失利益を算定するためにも,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ご相談ください。

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