【コラム】:過失割合について(高速道路上の事故 4.落下物による事故)
交通事故の被害者および加害者には,それぞれの過失に応じた過失割合というものが決められます。
過失の割合に応じて賠償額が減額されるため,交通事故において,過失の割合はとても大きな問題となります。
そこで,事故態様ごとの過失割合をご紹介します。
4.落下物による事故【331】
高速道路の本線車道を走行していた自動車が同車道上に落下していた物によって事故に至った場合を想定しています。高速道路においては,高速度での走行が許容されているのであるから,落下物自体には接触しなくても,運転者が適切な回避措置をとることができず,事故に至ることも十分にあり得ます。したがって,このような非接触型の事故についても,落下物の存在と事故の発生との間に因果関係が認められる限り,本基準を適用して差し支えありません。
また,落下物について,比較的近距離になってはじめてその危険性を認識できるものであって,接触によりハンドルやブレーキ操作に影響を与え得るもの(物理的に一定の大きさのあるものや滑りやすいもの等)であること,後続車について軽度の前方不注視があることを前提としています。落下物の危険性が高い場合(例えば,落下物が油であった場合)や後続車からの発見が容易であった場合(例えば,200m以上手前から落下物を容易に発見できた場合)には,修正要素として考慮します。
そして,高速道路においては,一般道路に適用される積載物転落等防止義務のほか,積載物の転落等による事故発生を防止するため貨物の積載状態を点検する義務が課されているのであるから,高速道路上に積載物等を落下させた前車の責任は一般道路の場合に比して格段に重いといえます。また,後続車としても,時速80kmを超える高速度で進行しながら落下物の危険性の程度を即座に判断し,適切な回避措置を講ずることには,少なからず困難を伴うものと考えられます。したがって,後続車の前方不注視又はブレーキ・ハンドル操作不適切等の安全運転義務違反の過失よりは,やはり高速道路の本線車道上に積載物等を落下させた先行車の過失の方が大きいというべきであり,基本の過失相殺率は,このような双方の過失内容を比較検討して定められています。
後続車:40 先行車:60
油を流出させた場合等は,発見の困難さや後続車に対する危険性に鑑み,先行車を重過失として20%修正されることもあります。
一方,200m手前から発見が容易であり,しかも,この地点で安全性の識別ができるにもかかわらずこれを見落とした等,前方不注視の程度が著しい場合,居眠り運転,酒酔い運転等の場合には,後続車を著しい過失・重過失として修正します。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
高速道路の事故の場合,時速80kmを超える高速度で走行しているため,死亡事故や重篤な後遺障害が残る場合が多く,賠償額が大きくなります。過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる金額が大きく変わってきますので,適正な過失割合で解決をすることが大切です。
しまかぜ法律事務所では,事故の現場図を分析したり,正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしています。
また,自転車と四輪車・単車との交通事故の解決実績も豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。