【コラム】:過失割合について(四輪車同士の事故 3.交差点におけるその他の態様の事故 (4)右(左)折車と後続直進車との事故)
交通事故の被害者および加害者には,それぞれの過失に応じた過失割合というものが決められます。
過失の割合に応じて賠償額が減額されるため,交通事故において,過失の割合はとても大きな問題となります。
そこで,事故態様ごとの過失割合をご紹介します。
3.交差点におけるその他の態様の事故
(4)右(左)折車と後続直進車との事故
ア 右折車と追越直進車との事故(追越直進車が中央線ないし道路中央を越えている場合)
(ア)追越しが禁止される通常の交差点の場合【135】
追越直進車:90 右折車:10
道路交通法30条3号で,当該車両が優先道路を通行している場合を除き,交差点及びその手前30m以内の部分で追越しは禁止されています。したがって,追越しが禁止される通常の交差点においては,右折車にある程度の過失があっても,基本的には追越直進車が劣後となります。
(イ)追越しが禁止されていない交差点の場【136】
追越直進車:50 右折車:50
優先道路の場合は,交差点内でも追越しが許されます。
追越しが禁止されていない交差点において,追越しのために中央線ないし道路中央を越えた追越直進車と,合図はしたが,あらかじめ道路中央に寄らずに右折した右折車とが衝突した場合を想定しています。
イ あらかじめ中央(左側端)に寄らない右(左)折車と後続直進車との事故(後続直進車が中央線ないし道路中央を越えていない場合)
右(左)折車が中央(左側端)に寄るのに支障のない場合【137】
追越直進車:20 右(左)折車:80
幅員が充分にあって,直進車と右(左)折車が横に並んで通行することができる道路において,先行する右(左)折車が,合図はしたが,あらかじめ道路中央(左側端)に寄らずに右(左)折しようとしたため,後続の直進車がこれに衝突したという事故態様を想定しています。
一方,幅員が充分になく,複数の車両が横に並んで通行する余地のない道路において,先行する右(左)折車に後続の直進車が衝突したという事故態様の場合には,右(左)折車の後方不確認の過失よりも後続直進車の車間距離不保持,前方不注視等の過失の法が大きいと考えられます。したがって,このような場合には,本基準を適用せず,追突事故の基準等を参考にして,別途,過失相殺率を決めます。
右(左)折車があらかじめ中央(左側端)に寄っては右(左)折できない場合【138】
追越直進車:40 右(左)折車:60
右(左)折して進入しようとする道路が狭いとか,右(左)折進路が鋭角をなしているとか,右(左)折車の車長が長い等の理由で,あらかじめ中央(左側端)に寄ったのでは右(左)折できない道路において,先行する右(左)折車が,合図はしたが,あらかじめ道路中央(左側端)に寄らずに右(左)折しようとしたため,後続の直進車がこれに衝突したという事故態様を想定しています。
愛知県内での交通死亡者数は,2003年から16年連続全国ワーストとなっています。
特に,高齢者の交通死亡事故が増加しており,約55%となっています。
死亡事故や重篤な後遺障害が残る事故の場合は賠償額が大きくなりますので,過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる金額が大きく変わってきますので,適正な過失割合で解決をすることが大切です。
しまかぜ法律事務所では,事故の現場図を分析したり,正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしています。
また,高齢者の交通事故の解決実績も豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。