【コラム】:過失割合について(高速道路上の事故 3.追突事故)

2021-01-08

交通事故の被害者および加害者には,それぞれの過失に応じた過失割合というものが決められます。
過失の割合に応じて賠償額が減額されるため,交通事故において,過失の割合はとても大きな問題となります。
そこで,事故態様ごとの過失割合をご紹介します。

3.追突事故
(4)追突事故(被追突車に道路交通法24条違反がある場合)
   前車が道路交通法24条違反の理由のないブレーキをかけたために後車が追突した場合を想定しています。したがって,前車が事故を回避する等危険を防止するために急ブレーキをかけた場合には,たとえそこへ至る過程において前車に過失が認められるとき(例えば,前方不注視により障害物の発見が遅れ急ブレーキをかけざるを得なくなった場合等)であっても,この基準の対象とはせず,別途考慮を必要とします。
   車両等の運転者は,危険を防止するためやむを得ない場合を除き,その車両等を急に停止させ,又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならないとされていますが,高速道路においては,時速80kmを超える高速度での走行が許容される一方,本線車道での駐停車が原則として許されていないのであるから,前車が危険防止の必要もないのに急ブレーキをかけた場合の危険は一般道路のそれとは比較になりません。もとより,後車にも十分な車間距離の保持と前方の注視が要求されるのではありますが,高速道路の本線車道では,車の流れに従った円滑な走行が一般道路よりも強く期待されるから,前車の予想外の急ブレーキが事故を引き起こす可能性は大きくなります。したがって,本基準では,一般道路に比べ,前車の過失を重くしています。
   なお,前車にブレーキの不必要・不確実な操作等がある場合には,道路交通法24条違反に至らない程度であっても前車の過失を肯定して良い場合があると考えられますが,このような場合には,基本の過失相殺率から10%程度前車に有利に修正して適用することになります。

 ア 四輪車同士の事故【328】

 

 

 

 

   追突車:50   被追突車:50
    風景・事故見物のために意図的に急ブレーキをかけた場合には,被追突車に著しい過失・重過失の修正をします。なお,前車が後車に対するいやがらせ等のために故意に急ブレーキをかけた場合には,後車の過失の有無について,別途慎重に検討する必要があります。
    分岐点・出入口等の付近,パーキングエリアの出入口付近においては,本線車道に進入しようとする他の自動車等との関係で被追突車が急ブレーキをかけたり,進路選択を誤った被追突車が正しい進路に向かうために急ブレーキをかける等の事態が予測され得るから,追突車においてもあらかじめそのような事態を予測して運転すべきとされています。

 イ 自動二輪車と四輪車との事故
 (ア)四輪車に道路交通法24条違反がある場合【329】
    追突車:40   被追突車:60

 (イ)自動二輪車に道路交通法24条違反がある場合【330】
    追突車:60   被追突車:40

 

 

 

 

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。

 高速道路の事故の場合,時速80kmを超える高速度で走行しているため,死亡事故や重篤な後遺障害が残る場合が多く,賠償額が大きくなります。過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる金額が大きく変わってきますので,適正な過失割合で解決をすることが大切です。

しまかぜ法律事務所では,事故の現場図を分析したり,正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしています。
また,自転車と四輪車・単車との交通事故の解決実績も豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

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