【コラム】:過失割合について(高速道路上の事故 3.追突事故)

2020-12-11

交通事故の被害者および加害者には,それぞれの過失に応じた過失割合というものが決められます。
過失の割合に応じて賠償額が減額されるため,交通事故において,過失の割合はとても大きな問題となります。
そこで,事故態様ごとの過失割合をご紹介します。

3.追突事故
(2)過失なく本線車道等に駐停車した自動車に対する追突事故
  ア 被追突車に退避懈怠又は停止表示器材設置懈怠の過失がある場合
    被追突車が自己に過失のない先行事故によって本線車道等に駐停車した後,退避可能であったのに退避しなかったか,又は,退避不能であったが,停止表示器材を設置することは可能であったのにこれを怠った場合を想定しています。
    このような場合,被追突車には駐停車したこと自体については過失がないから,被追突車の過失の程度は,自己に過失のある先行事故等により駐停車した場合よりも小さい。しかし,被追突車が退避又は,停止表示器材の設置を怠ったことは,本線車道等において運転することができなくなったときの義務に違反するから,原則として,被追突車は一定の限度で過失責任を負うことを免れません。
  (ア)四輪車同士の事故【323】

 

 

 

 

     追突車:80   被追突車:20
     被追突車に,退避を怠った過失と停止表示器材の設置を怠った過失のいずれの過失も認められる場合は,その他著しい過失・重過失の修正要素を適用します。

(イ)自動二輪車と四輪車との事故

 

 

 

 

    a 四輪車駐停車【324】
      追突車:70   被追突車:30
     
    b 自動二輪車駐停車【325】
      追突車:90   被追突車:10

  イ 被追突車に駐停車後の対応に過失がない場合【326】
    被追突車が自己に過失のない先行事故によって本線車道等に駐停車した後,退避することが不可能であり,かつ,被追突車の運転者等が停止表示器材を設置したにもかかわらず追突事故が発生したか,被追突車の運転者等が死傷又は時間的余裕がなかったことにより停止表示器財を設置することができない状況の下で追突事故が発生した場合を想定しています。
    このような場合,被追突車には駐停車したことについて過失はなく,駐停車後の対応にも過失はないというべきであるから,被追突車の駐停車の態様にかかわらず,また,四輪車又は自動二輪車の別なく,被追突車に対する過失相殺は否定されるべきです。

 

 

 

 

    追突車:100   被追突車:0

     
 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,令和元年の交通事故死者数が17年ぶりに全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。

 高速道路の事故の場合,時速80kmを超える高速度で走行しているため,死亡事故や重篤な後遺障害が残る場合が多く,賠償額が大きくなります。過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる金額が大きく変わってきますので,適正な過失割合で解決をすることが大切です。

しまかぜ法律事務所では,事故の現場図を分析したり,正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしています。
また,自転車と四輪車・単車との交通事故の解決実績も豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

Copyright(c) 2021 弁護士法人しまかぜ法律事務所 All Rights Reserved.