【コラム】:過失割合について(歩行者と自転車との事故 3.道路外や車道から歩道,路側帯に進入してきた歩行者の事故 (1)歩道における事故)

2018-09-03

 

 

 

交通事故の被害者および加害者には,それぞれの過失に応じた過失割合というものが決められます。
過失の割合に応じて賠償額が減額されるため,交通事故において,過失の割合はとても大きな問題となります。
そこで,事故態様ごとの過失割合をご紹介します。

3.道路外や車道から歩道,路側帯に進入してきた歩行者の事
    歩行者が,歩道又は路側帯の外から歩道又は路側帯の中に進入し,当該歩道又は路側帯を通行中の自転車との間で事故が発生した場合を想定しています。
    典型的な例として,歩行者が,駐停車した車両を降りて車道から歩道又は路側帯に進入した場合,道路外の通路や施設から歩道又は路側帯に進入した場合などが考えられます。
(1)【96】歩道における事故

 

 

 

 

   歩行者:0 自転車:100

        歩道においては,歩行者の通行が絶対的に保護されるといってよいから,原則として過失相殺はしません。
        ただし,歩道通行を許されている普通自転車が,歩道の中央から車道寄りの部分又は普通自転車通行指定部分を徐行している場合又は通行しようとする歩行者がない普通自転車通行指定部分を歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行している場合に,歩行者がわずかに注意すれば事故を回避することができたのに,予想外に大きくふらつくなどして,普通自転車の進路の前方に急に飛び出し,普通自転車に衝突・接触されたときは,急な飛び出しとして歩行者に加算修正されます。
(2)【97】路側帯における事故

 

 

 

 

   歩行者:0 自転車:100
        路側帯では,歩道と異なり,自転車に対して徐行や一時停止の義務は課されていません。しかし,路側帯は歩行者の通行の用に供するためのものであり,自転車は,歩行者の通行を妨げないことを前提として路側帯の通行を許されているので,自転車が路側帯で歩行者に衝突下場合は,原則として,歩行者は過失相殺をされることはないというべきです。
        見とおしの悪い路外施設等から歩行者が飛び出してきた場合のように,歩行者においてはわずかに注意をすれば事故を回避することができるのに対し,自転車においては歩行者の存在自体を認識することが容易であるとはいえず,歩行者にも相応の注意が求められる事案では,20%の加算修正をするのが相当です。

 

近年,ロードバイクや電動アシスト自転車が普及し,自動車と違い免許が不要で気軽に乗れることから,小さいお子さまからご高齢の方まで,たくさんの方が自転車に乗っています。
自転車とはいえスピードは速いので,歩行者と自転車との事故の場合,衝撃を生身に受けた歩行者が亡くなったり,重篤な傷害を負うケースもあります。
また,目撃者がいない場合,主張が対立することもあり,示談による解決が難しくなることもあります。

しまかぜ法律事務所では,事故の現場図を分析したり,正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしています。
賠償額が大きくなればなるほど,過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる金額が大きく変わってきますので,過失割合でお困りの方は,ぜひ,しまかぜ法律事務所へご相談ください。

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