【コラム】:過失割合について(歩行者と自転車との事故 2.対向又は同一方向進行歩行者の事故(3)路側帯における事故)
交通事故の被害者および加害者には,それぞれの過失に応じた過失割合というものが決められます。
過失の割合に応じて賠償額が減額されるため,交通事故において,過失の割合はとても大きな問題となります。
そこで,事故態様ごとの過失割合をご紹介します。
2.対向又は同一方向進行歩行者の事故
(3)路側帯における事故
自転車は,著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き,路側帯(ただし,歩行者用路側帯を除く)を通行することができます。
自転車は,路側帯を通行する場合,歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければなりません。なお,路側帯には道路交通法17条4項及び道路交通法18条1項が適用されないことから,自転車は路側帯のどの部分を通行することもできると解されています。ただし,道路交通法の一部を改正する法律により,道路の左側部分に設けられた路側帯のみを通行することができることとされています。したがって,自転車が道路の右側部分の路側帯を通行することは,道路交通法規に違反することなるため,右側通行と同様に,道路状況や事故態様に応じて,自転車の著しい過失として減算修正されると考えられます。
歩行者は,歩道等(歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯)と車道との区別のある道路においては,車道を横断する場合,道路工事等のため歩道等を通行することができない場合,その他やむを得ない場合を除き,歩道等を通行しなければなりません。
ア 【89】自転車が路側帯を直進走行している場合
歩行者:0 自転車:100
路側帯では,歩道と異なり,自転車に対して徐行や一時停止の義務は課されていません。しかし,路側帯は,歩行者の通行の用に供するためのものであり,自転車は,歩行者の通行を妨げないことを前提として路側帯の通行を許されるのであるから,自転車が路側帯で歩行者に衝突した場合は,原則として,歩行者は過失相殺をされることはないというべきです。
イ 【90】自転車が路側帯外から路側帯を通過又は路側帯に進入しようとした場合
歩行者:0 自転車:100
車両が路側帯の外から路側帯に入る場合には,路側帯を通行している歩行者の交通の流れに逆らうことになります。また,路側帯は,歩行者の通行の用に供するためのものであり,自転車は,著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き,路側帯を通行することができるのであり,路側帯を通行する場合は,歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならないとされています。
これらの規則等からすると,自転車が路側帯外から路側帯内に進入しようとする場合に路側帯内を通行し,又は佇立している歩行者と接触・衝突したときは,原則として,過失相殺をすべきではありません。
近年,ロードバイクや電動アシスト自転車が普及し,自動車と違い免許が不要で気軽に乗れることから,小さいお子さまからご高齢の方まで,たくさんの方が自転車に乗っています。
自転車とはいえスピードは速いので,歩行者と自転車との事故の場合,衝撃を生身に受けた歩行者が亡くなったり,重篤な傷害を負うケースもあります。
また,目撃者がいない場合,主張が対立することもあり,示談による解決が難しくなることもあります。
しまかぜ法律事務所では,事故の現場図を分析したり,正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしています。
賠償額が大きくなればなるほど,過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる金額が大きく変わってきますので,過失割合でお困りの方は,ぜひ,しまかぜ法律事務所へご相談ください。