【コラム】:治療費について(請求項目その1)

2015-07-17

人身事故について,請求できる項目の説明を連載させていただきます。
請求項目その1は,治療費です。

治療費は,必要かつ相当な範囲で請求が可能です。
ご相談を受けることが多い,①手術費,②接骨院,③健康保険を使用すべきか否かについて,説明させていただきます。

①手術費
主治医が必要と判断する場合,過剰な手術でない限り,ほぼ問題なく手術費は認められます。
もっとも,ヘルニア手術や,低髄液圧症候群のブラッドパッチなどは,争いとなることが多いです。これらは,全く認められないということではなく,適正な検査を行い手術の必要があると判断できる場合は,手術費を認める裁判例もありますので,ご不明な方は,しまかぜ法律事務所にご相談ください。

②接骨院
病院(整形外科など)の医師による承諾をもらって,接骨院でリハビリを行えば,ほぼ問題なく接骨院での治療費は認められます。もっとも,病院(整形外科など)にも丸一ヶ月以上空けないように通院することが重要です。
一方,医師による承諾がないと,接骨院での治療費が認められないか!?というとそうではありません。接骨院での治療によって症状が軽快すれば,過剰な治療でない限り,治療費は認められます。
接骨院の治療で注意すべき点は,病院(整形外科など)で診断した部位と,接骨院でのリハビリ部位は一致させることです。例えば,病院では頸部の診断しか出ていないのに,接骨院で腰部のリハビリをしても,治療費は認められません。

③健康保険を使用すべきか否か
交通事故の治療は,自由診療といって健康保険を使用しない治療が原則ですが,健康保険を使用することも可能です。交通事故で健康保険を使用する場合,健康保険組合に連絡し,第三者行為手続を行う必要があります。
基本的には,被害者にも過失が想定される場合,健康保険を使用することをおすすめします。なぜなら,保険会社から医療機関に対しては,過失に関係なく治療費全額が支払われますが,最終の賠償額交渉で,保険会社は過失分の治療費が過払いであったとして賠償金から控除する主張を行います。健康保険を使用すれば,治療費そのものが低く抑えられますので,過払いと主張される金額が低くなり,被害者の手取りは多くなります。
もっとも,自由診療でしか対応できない治療もありますので,過失があれば健康保険を使用することが正解とも言い切れません。被害者の過失が小さい場合は,過払いと言っても金額は低いため,健康保険を使用すべきか否かでお悩みの方は,しまかぜ法律事務所にご相談ください。

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