【コラム】:損益相殺・損害の補填等(9)

2026-05-15

 被害者またはその相続人が事故に起因して何らかの利益を得た場合,当該利益が損害の補填であることが明らかであるときは,損害賠償額から控除する場合があります
 
3.社会保険給付等がある場合の控除
(2)過失相殺等の方法
① 健康保険,介護保険,国民年金,厚生年金
損害額から給付額を引いた残額に対して過失相殺をする。
・ 自賠責保険・共済において被保険者の重過失が認められ,保険金額・共済金額の減額が行われた場合,健保組合等は,過失により減額された割合で減額した額でもって加害者側に求償して差し支えない。
・ 第三者行為により生じた保険事故につき,保険者は被害者にも明らかに過失があると認めるときは,保険者において妥当な過失割合を求め,その割合に応じて求償額を減額し算定して差し支えない。
・ 健康保険組合から支払われた金額については,過失相殺前の損害額から控除するのが相当とした。
・ 50%の素因減額をすべきとされた事案において,治療費のうち社会保険が負担した金額は素因減額前に控除した。
・ 健康保険給付分の求償として全国土木建築国民健康保険組合に支払われた金額につき,その正確に即し,かつ,当事者の主張を踏まえて,過失相殺前に控除するとした。
・ 健康保険法の高額療養費及び国民年金法の障害基礎年金につき,過失相殺前に損害の元本に充当されるべきであるとした。
・ 障害厚生年金は保険料の拠出者が被用者であること,制度目的が被用者の福祉の増進であることから過失相殺前に控除するのが相当とした。
・ 障害基礎厚生年金は,被保険者の所得保障を目的とするものであって,損害の賠償を目的とするものではなく,被害者本人が拠出した保険料に基づく給付としての対価的性格を有しており,特に,障害厚生年金は,報酬に比例して保険料及び年金額が算定される仕組みが採用されているため,被害者本人にとって対価的正確が強いものであるから,これを加害者の過失部分に充当することは不合理であり,過失相殺前の損害に充当するのが相当とした。
・ 国民年金法の障害基礎年金につき,給付それ自体が損害の填補となる性質を有しないとし,過失相殺前に控除すべきであるとした。
・ 障害基礎年金及び障害厚生年金については,いずれも社会保障の面を有しているものの,他方第三者に対する求償規定を有し,損害のてん補という側面も有しており,過失相殺後に控除するのが相当とした。
・ 健康保険組合からの傷病手当金について,素因減額前に控除した。
・ 障害基礎年金につき,過失相殺および素因減額後の後遺障害逸失利益から控除した。
・ 介護保険給付は損害の賠償を目的とするものではなく,国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とするものであることからすると,過失相殺前に損害に充当するのが相当であるとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,7年連続交通事故死者数全国ワーストを脱却していますが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,損益相殺の対象であるかを正しく判断し解決していますので,ぜひ,一度ご相談ください。

〒460-0002 名古屋市中区丸の内1丁目4番12号 アレックスビル3階
Copyright(c) 2021 弁護士法人しまかぜ法律事務所 All Rights Reserved.