【コラム】:慰謝料(41)

2024-11-15

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

5 慰謝料の増額事由
(1)加害者に故意もしくは重過失(無免許,ひき逃げ,酒酔い,著しいスピード違反,ことさらに信号無視,薬物等の影響により正常な運転ができない状態で運転等)または著しく不誠実な態度等がある場合
  ① 死亡事例
ウ その他
(イ)子供,幼児等
・ 姉妹(3歳と1歳)につき,加害者が飲酒運転で縁石にぶつかりながら蛇行するなどし,料金所の職員から注意されても無視して運転を続行し,サービスエリアで更に持ち込んだウイスキーを飲酒する等して,渋滞減速した被害車両に追突して炎上させ,被害車両内に閉じ込められた被害者ら姉妹を焼死させた等の事情を考慮して,各3400万円(本人2600万円,父母各400万円)を認めた。
・ 中学生(14歳)につき,加害者が刑事裁判において遺族から常軌を逸した対応と評価されてもやむを得ないような訴訟態度を示したこと,遺族に対して真摯な反省ないし謝罪を示していないこと等から,本人分2600万円,父母各200万円の合計3000万円を認めた。
・ 中学生(12歳)につき,加害者が会社から取り外しの指示があったにもかかわらず大型貨物車の助手席のドアのガラス部にスモークフィルムを貼って左方視界を悪化させていたなど,職業運転手としての交通安全意識の欠如や,慰藉の措置を講じておらず不誠実であると評価されても致し方ないことから,本人分2000万円,父母各400万円,弟200万円の合計3000万円を認めた。
・ 被害者(9歳)につき,加害者は朝まで量がわからないくらい飲酒し,事故後救護せずコンビニで強力な口臭消しを購入し,衝突まで全く被害者に気がついていなかったにもかかわらず捜査段階ではこれを隠す供述をし,父母が事故後心療内科に通院したことから,基準額の3割増しを相当とし,本人分2750万円,父母各250万円の合計3250万円を認めた。
・ 中学生(14歳)につき,加害者が抗てんかん薬の服用を日常的に怠っていたこと,指示どおりに抗てんかん薬を服用せずに物損事故を起こしたことがあること,刑事事件の公判で薬を服用していた旨の虚偽の供述をした等から,本人分2600万,父母各400万円の合計3400万円を認めた。
・ 男児(5歳)につき,加害者は事故日に交番に出頭しているが,人を礫過したかもしれないことを認識したのに事故現場から逃走したこと,報告義務違反・救護義務違反に関する刑事事件で否認したこと等から,本人分2400万円,父母各300万円の合計3000万円を認めた。
・ 小学生(9歳)につき,加害者が運転席横のシート上に置いたスマートフォンのゲーム画面を見ながら運転し,前方に被害者を含めた小学生の集団がいることを認めた後,再び,ゲーム画面に目を転じたため,衝突直前になるまで横断歩道上の被害者に気がつかずに衝突しており,事故原因が夢中になっていたゲームに気を取られていたという単に加害者の欲求から出たものであること,事故後も被害者への声かけを積極的に行っている様子がないこと等を考慮し,本人分2500万円,父母各200万円,事故を目の前で目撃した兄100万円,同居の祖父母各50万円の3100万円と,搬送の約2時間後に死亡であるが傷害分1万7666円を認めた。
・ 中学3年生(15歳)につき,加害者が被害者の救護及び警察への報告をせずに加害車両を修理業者に持ち込んだことから事故が発覚したこと,運転免許が取り消された後の刑事公判手続中に無免許運転をして逮捕追起訴されたこと,被告人質問中にあくびをしたり検察官による遺族への謝罪の求めにも応答しなかった等から,昏睡,脳死の状態が継続していた入院41日分100万円のほか,本人分2500万円,父母各250万円,兄120万円の合計3120円を認めた。
・ 女児(11歳)につき,てんかん発作による意識喪失下で加害車が歩道上の児童らに衝突した事案につき,加害者が持病であるてんかん発作歴を隠して運転免許の更新を受け,運転を続けていたこと等から,本人分2600万円,父母各200万円,兄100万円の合計3100万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,5年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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