【コラム】:慰謝料(33)

2024-09-06

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

4 損害算定困難等を慰謝料で斟酌した事例
(3)逸失利益の算定が困難または不可能な場合
  ① 労働能力喪失が認められないとされた事例
   ア 外貌醜状等
(ウ)12級の事例(2)
・ 会社員(固定時26歳,左目窩部の4cmの線状痕12級,左膝動揺性12級,左頬のしびれ14級の併合11級)につき,線状痕はその長さの程度に照らし,労働能力に影響を与えないものの,慰謝料で考慮するとして,逸失利益を否定し,傷害分330万円,後遺障害分500万円を認めた。
・ 主婦(固定時70歳,顔面醜状12級)につき,逸失利益を否定したが,日常生活への影響,後遺障害等級に該当しない右肘頭骨折後の手術痕等が残存していることなどから,後遺障害分350万円を認めた。
・ 大学生(固定時22歳,左足関節機能障害8級,左足指第1乃至第5関節の機能障害9級,左下腿開放骨折等に伴う左下腿部及び左大腿部の瘢痕12級の併合6級)につき,左下肢の瘢痕は労働能力に影響を与えないが慰謝料として考慮するとして,労働能力喪失率を56%としたうえで,傷害分220万円のほか,150万円を増額して後遺障害分1330万円を認めた。
・ 男児(事故時7歳,右下腿術後瘢痕13cm,17cm,14cmの3ヵ所の12級相当)につき,将来の労働能力を一部喪失し,収入の減少を来すとまでは認めることができないものの,心理的な影響から就職範囲が限定されるなどして間接的に影響を及ぼす可能性があることを後遺傷害慰謝料で考慮するとして,傷害分296万円余のほか,後遺障害分440万円を認めた。
・ 被害者(固定時17歳,右足趾3本欠損12級,右足背から側面全域の瘢痕12級,左大腿の採皮痕14級の併合11級)につき,労働能力喪失率を14%としたうえで,右足背~側面全域の瘢痕及び左大腿の採皮痕は,将来に測りがたい影響を及ぼすおそれがあることから,傷害分250万円のほか,後遺障害分620万円を認めた。
・ ブラジリアン柔道場経営(事故時48歳,右眉の眉山付近から眉頭及び鼻の上部にかけて長さ3cm以上の線状痕12級,右膝痛等14級の併合12級)につき,外貌醜状の逸失利益を否定したが,線状痕のために道場の会員から顔をじっと見つめられていると何度も感じるなど,日常生じている精神的苦痛は大きいとして,傷害分240万円のほか,後遺障害分350万円を認めた。
・ 女児(事故時11歳,右ふくらはぎの線状瘢痕80mm×5mm,右下腿内側の線状瘢痕70mm,右下腿外側の線状瘢痕70mm,右足関節外踝の線状瘢痕2cm)につき,逸失利益を否定したが,自賠責で下腿の瘢痕が12級相当と認定されていること,生活の様々な場面において今後長期にわたって大きな精神的苦痛をもたらし続けることが容易に想像できること等から,傷害分180万円のほか,後遺障害分420万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,5年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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