【コラム】:慰謝料(29)

2024-07-25

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(3)近親者の慰謝料
  ⑦ 7級の事例
   ・ 主婦(72歳,左下肢短縮による歩行障害等7級)につき,傷害分300万円のほか,本人分800万円,被害者が生命を害された場合にも比肩しうる面があるとして夫(82歳)100万円,後遺障害分合計900万円を認めた。
・ 会社員(事故時23歳)につき,当初自賠責12級を前提に示談が成立したが,その後けいれんを発症し自賠責7級4号高次脳機能障害の認定を受けた事案につき,当初示談金とは別に傷害分90万円のほか後遺障害分710万円(1000万円のうち290万円は当初示談の効力の範囲内として控除),父母固有の慰謝料として各45万円を認めた。

  ⑧ 11級の事例
   ・ 給与所得者(固定時30歳,左鎖骨の変形障害12級,右上腕の疼痛,右橈骨神経領域しびれ等の後遺障害12級,併合11級)につき,傷害分250万円,後遺障害分420万円を認めたほか,夫の死にも比肩し得べき精神的損害を被ったとして妻分100万円を認めた。

(4)後遺障害を負った被害者が死亡した事例
・ 兼業主婦(65歳,高次脳機能障害9級)が,脳損傷に起因する希死念慮を伴ううつ病に罹患して事故と相当因果関係のある自殺をした場合に,傷害慰謝料240万円,後遺障害慰謝料690万円のほか,死亡慰謝料につき,2200万円を認めるのが相当とした上で,2200万円から690万円を控除した1510円について自殺に対する寄与度減額(50%)を行い,755万円を認めた。
・ 会社代表者(固定時65歳,高次脳機能障害等別表第1の1級1号),事故後1か月で肝細胞癌の疑い,事故後4か月で肝転移を伴うステージⅣの胃癌と診断され,事故後9か月(固定後2か月)で肝癌により死亡につき,傷害分280万円のほか,本人分2800万円,妻200万円,子2名各100万円の後遺障害分合計3200万円を認めた。

(5)その他
・ 有職主婦(固定時43歳,左膝関節及び左足関節用廃6級,左足指全廃9級等)につき,併合して5級と評価すると序列を乱すことになるので,6級相当と評価するにとどめつつも,1300万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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