【コラム】:慰謝料(24)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
3 後遺症
(2)既存障害のある被害者
・ 鍼灸マッサージ自営業(固定時50歳,左上肢及び左膝の神経症状併合14級)につき,傷害分138万円のほか,仕事内容,事故前後の眼の障害内容の推移(多少あった視力を完全に喪失したが自賠責の後遺障害等級としては考慮されず)等を勘案して後遺障害分330万円を認めた。
・ 前事故でも外貌醜状7級の後遺障害を残している特別養護老人ホーム寮母(25歳,外貌醜状7級)につき,逸失利益が認められない点を考慮し,さらに前の顔面醜状は減額要素とはならないとして1100万円を認めた。
・ 左膝人工関節置換術により8級に相当する既往症を有していた主婦(固定時68歳)につき,同手術により膝の疼痛から解放されていたにも関わらず事故によって再び左膝関節の疼痛に苦しめられるようになったこと等を考慮して,左膝疼痛12級の後遺障害に基づく逸失利益を認めたほか,後遺障害慰謝料300万円を認めた。
・ 建設作業員(25歳,高次脳機能障害5級)につき,本件事故前から別件事故によって高次脳機能障害5級の認定を受けており,自賠責では加重障害に至らないとして非該当であったが,傷害の内容及び程度,入通院状況,残存した後遺障害の程度及び内容と本件事故によって生じたものと同種の後遺障害が残存していたこと等の事情から500万円を認めた。
・ 自己が創業した会社勤務の被害者(85歳)につき,従前から右足が不自由であり歩行が困難であったが,歩行困難の障害が本件事故によってどの程度重症化し,日常生活に支障が生じることになったかは必ずしも明確ではないが,杖をつくような状態になっていることが認められ,ある程度の症状が悪化したことは確かであるとして,傷害分60万円のほかに,後遺障害分60万円を認めた。
・ 股関節機能障害10級の既存障害を有する主婦(固定時80歳)の右膝関節機能障害12級相当と骨盤骨変形障害12級相当につき,既存障害を含む加重障害とした上で既存傷害分を差し引く手法と,既存障害を考慮せずに本件事故による後遺障害の程度を検討しそれに対応した後遺障害慰謝料額を試算し,いずれか大きな方を採用するのが合理的として,12級と評価すべき独立の後遺障害2つを併合した11級の慰謝料の方が上回っているとして,後遺障害分400万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。