【コラム】:慰謝料(21)

2024-05-17

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ⑭ 14級の事例(2)
   ・ 眼科医(公務員)(事故時30歳,左手に振戦14級)につき,手術ができなくなり,研究職の眼科医に転向せざるを得なくなったことにより減収が生じていること等を考慮し,逸失利益(12%,10年)のほか,後遺障害分210万円を認めた。
   ・ パイロット(頸椎捻挫,腰椎捻挫14級)につき,後遺障害の内容,程度のほか,従事する職業を踏まえた将来に対する不安等を総合考慮し,傷害分170万円,後遺障害分180万円を認めた。
   ・ 女児(9歳,右下肢の醜状痕14級,背中の醜状痕非該当)につき,逸失利益を労働能力喪失率5%,就労後5年間認めた上で,醜状について心ない言葉を受けることが多いなど,種々の支障が生じていることから250万円を認めた。
   ・ タクシー運転手(固定時59歳,両下肢の疼痛,しびれ,腰の疼痛,頸部から両肩部にかけての強い痛み14級)につき,傷害分140万円のほか,神経根の圧迫もあり,外出時腰のコルセットをしている必要があり,座位により腰痛がひどくなっており,両下肢のしびれもひどくなっていること等を考慮し,後遺障害分180万円を認めた。
   ・ 福祉施設送迎運転手(事故時55歳,左膝の神経症状14級)につき,医学的な証明を伴う器質的なものであるとは認められないものの,軟部組織の一部について一定の変化があること,症状内容が神経症状としてはある程度強度のものに属することなどを考慮すると,一般的な基準の範囲に収まらない特別の事情があるとして,傷害分190万円,後遺障害分150万円を認めた。
   ・ 日本に留学中に結婚した有職主婦(事故時33歳,非器質性精神障害14級)につき,症状固定後も一定の治療を受ける必要があり,治療で服用している薬は妊婦や新生児に副作用が生じる可能性があることを指摘されており,そのため第2子の出産を断念せざるを得なくなったとして,傷害分124万円,後遺障害分150万円を認めた。
   ・ トラック運転手(事故時54歳,左頚部痛14級,腰背部痛14級,左耳鳴14級の併合14級)につき,傷害分107万円,後遺障害が3つの部位に及ぶことを勘案し後遺障害分150万円を認めた。
   ・ ビル管理業務に従事する会社員(固定時38歳,右肩疼痛14級,右肩関節可動域制限非該当)につき,関節可動域が健側の4分の3以下に制限されていないが,就労上看過することができない程度のものであり,業務に支障を生じているとして,13級相当の労働能力喪失率を認め,傷害分155万円のほか,後遺障害分180万円を認めた。
   ・ 大学生(19歳,右上腕骨骨幹部骨折による神経障害14級)につき,後遺障害に至らない瘢痕が残っていること,骨折部に金具が残ったままであることを考慮して後遺障害分160万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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