【コラム】:慰謝料(15)

2024-03-14

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ⑦ 7級の事例
   ・ 海上自衛官(固定時27歳,鼻から頬部にかけて長さ約80mm,幅約2mmの白色脱色と線状痕,鼻軟骨欠損,知覚異常の神経症状を含めて7級,下腿痛14級の併合7級)につき,逸失利益を認めた上で,後遺障害分1100万円を認めた。
   ・ システムエンジニア(固定時36歳,左上肢のRSD,労働能力喪失率56%)につき,現在の状態を維持するために今後も治療を続けなければならないことなどから,傷害分120万円,後遺障害分1200万円を認めた。
   ・ 旅行会社添乗員(固定時27歳,顔面醜状及び疼痛7級12号相当)につき,逸失利益を労働能力喪失率10%で10年間認めた上で,傷害分120万円のほか,加害者が酒気帯び,制限速度25km超過で追突しそのまま現場から立ち去ったという悪質性,被害者が20歳代の未婚の女性であり高校生の頃から希望していた海外旅行添乗員になることを断念したこと等を斟酌し,後遺障害分1250万円を認めた。
   ・ 事故後に退職した会社員(固定時39歳,下肢関節の用廃8級,左下肢の醜状障害12級相当の併合7級)につき,事故により左大腿骨開放骨折等から骨髄炎を発症,7.5年入通院し,本人が骨髄炎再熱のリスクに大きな不安を抱えていることなどを考慮し,傷害分550万円,後遺障害分1100万円を認めた。
   ・ 幼稚園児(固定時22歳,左腓骨偽関節8級,左足関節機能障害10級,左足第1指及び第2指機能障害11級,左下肢瘢痕12級相当,右下肢瘢痕12級相当の併合7級)につき,傷害分550万円のほか,両足の大きさに相違が生じて不便を来し,若年女性の両足に手のひら3倍程度以上の瘢痕が生じていること,足長差解消のための脚延長術の再手術が必要となる可能性もあるとして,後遺障害分1100万円を認めた。
   ・ 被害者(固定時20歳,右手指神経損傷に伴う右手第1~第4指の機能障害7級,右手,腹部の瘢痕は等級なし)につき,逸失利益を労働能力喪失率56%で67歳まで認めた上で,傷害分230万円のほか,後遺障害分1100万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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