【コラム】:慰謝料(1)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
1 死亡慰謝料
死亡慰謝料の金額は,具体的な斟酌事由により増減されるべきとされていますが,目安としては,①一家の支柱2800万円,②母親,配偶者2500万円,③その他(独身の男女,子供,幼児等)2000万円~2500万円とされています。死亡慰謝料の総額となっていますので,配分については,遺族間の内部の事情を斟酌して決めます。
(1)一家の支柱
一家の支柱とは,主として一家の生計を維持している人のことで,それ以外の人に比べて高い死亡慰謝料が認められています。
・ 1つの事故で両親が死亡した事案において,遺児2人(9歳と6歳)に各2800万円を認めた。
・ 高齢の親を扶養していた大学教授(男・独身)につき,本人分2400万円,母,妹と2人の弟に各150万円,合計3000万円を認めた。
・ 男性(57歳)につき,相続放棄した妻300万円,子2人に各150万円を認めたほか,相続財産管理人の請求に係る本人分として2500万円,合計3100万円を認めた。
・ 娘が9歳のときに離婚し,以降17歳になるまで扶養してきた兼業主婦(49歳)につき,本人分2600万円,娘400万円,合計3000万円を認めた。
・ タクシー乗務員(男・52歳)につき,本人分2600万円,妻200万円,子2人(いずれも成人)各100万円,合計3000万円を認めた。
・ 外資系会社員(男・38歳)につき,本人分2800万円,妻200万円,子2人各100万円,合計3200万円を認めた。
・ 大手監査法人勤務職員(男・34歳)につき,本人分3000万円,妻200万円,父母各100万円,合計3400万円を認めた。
・ 1つの事故で生後11ヶ月の長男とともに死亡した男性(21)歳につき,本人分2800万円,妻400万円,両親に各100万円,合計3400万円を認めた。
・ 無報酬の取締役(男・66歳・年金・配当収入あり)につき,本人分2500万円,妻300万円,子2人各100万円,合計3000万円を認めた。
・ 会社員(男・46歳)につき,本人分2800万円,妻250万円,子2人各100万円,合計3250万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
慰謝料は,ご遺族の過ごしてきた関係,どれだけ愛情をもって接してきたかによって大きく増加いたします。
個々のご遺族の無念さを考慮した慰謝料額で解決をすることが大切になりますので,適正な慰謝料での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。