【コラム】:慰謝料(49)

2025-01-31

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

5 慰謝料の増額事由
(3)その他
  ① 死亡事例
・ 小学生(8歳)の死亡事故につき,不起訴処分に対し両親が真相究明を求め粘り強い努力をした結果,全容が解明されたとして,本人分2200万円,母400万円(父は相続放棄),合計2600万円を認めた。

② 後遺障害事例
・ 主婦(48歳,右肘開放骨折,右前腕皮膚壊死等7級相当)につき,症状固定までの傷害分300万円のほかに,症状固定後3年間の通院分50万円,後遺障害分1000万円を認めた。
・ アルバイト(固定時25歳,高次脳機能障害及び左片麻痺2級3号)につき,加害者の保険会社が依頼した調査事務所が追跡調査し,写真撮影が禁じられている施設内や被害者の自宅室内の姿まで写真・ビデオ撮影したのは社会通念上許容される限度を超えた不相当な行為であるとして,本人分2400万円,母300万円を認め,母の慰謝料については過失相殺しなかった。
・ 会社員(固定時36歳,脛骨開放骨折による下肢機能障害7級,下肢短縮13級の併合6級)につき,後遺障害分を1200万円とし,手術を受けたものの,左下肢の軟部組織の著しい欠損により観戦の危険が高く,長期間にわたる入院を要したほか,骨癒合にも長期間を要する中で骨髄炎を発症し,再度入院加療を要したことなどから,傷害分360万円を認めた。
・ 運転手(事故時29歳,右俣関節機能障害12級と右膝関節機能障害12級の併合11級,右下肢の短縮障害10級,右下肢の瘢痕14級の全体で併合9級)につき,右大腿骨粉砕骨折等で入院期間570日,通院期間1511日に及び,イリザロフ手術を含め多数回手術し,事故後,業務内容の変更を余儀なくされ,将来発症するかもしれない骨折の危険増加等の悪影響による精神的負担を抱えており,私生活でも配偶者に負担をかけるなどして,離婚に至ったことから,傷害分670万円を認めた。
・ 専業主婦(固定時26歳,右足関節機能障害10級,右下腿等瘢痕及び線状痕12級相当,左足瘢痕及び線状痕14級の併合9級)につき,事故後40分以上も右足を大型貨物自動車に礫過されたままという受傷内容,一度は足の切断が検討され,5度にわたる入院をした治療経過等から傷害分430万円,後遺障害800万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

Copyright(c) 2021 弁護士法人しまかぜ法律事務所 All Rights Reserved.