【コラム】:慰謝料(25)

2024-06-21

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(2)既存障害のある被害者の事例(2)
  ・ 社会不安障害(9級)の既存障害を有する無職(固定時23歳,高次脳機能障害,左右股関節の機能障害,左顔面神経麻痺に伴う口のゆがみ等,左側頭骨骨折後の左聴力低下別表第1の2級1号)につき,傷害分312万円のほか,本人分2100万円,父母各100万円,後遺障害分合計2300万円を認めた。
  ・ 事故の2年前から腰部痛(労災12級),左手指巧緻障害及び左手の知覚障害(併合14級)の既存障害を有する公務員(固定時46歳,脊髄損傷不全麻痺5級)につき,傷害分220万円のほか,後遺障害分1440万円を認めた。
  ・ 9年前の交通事故による右肩・上肢から手指先の疼痛等(12級)の既存障害を有する新聞配達員(固定時68歳,高次脳機能障害5級)につき,傷害分330万円のほか,後遺障害分1300万円を認めた。
  ・ 第二腰椎変形(11級)の既存障害を有する会社員(固定時54歳,第12胸椎脊柱変形障害6級,右膝痛12級の併合5級)につき,後遺障害の制約の下で思うように就労ができなかったことを考慮し,傷害分175万円のほか,後遺障害分1180万円を認めた。
  ・ 前頭側頭葉変性症のうち失語症群である意味性認知症(3級)の既存障害を有する会社員(固定時55歳,遷延性意識障害1級)につき,傷害慰謝料340万円のほか,後遺障害分2800万円,妻と2人の娘に各100万円,父親に50万円の合計3150万円を認めた。
  ・ 右眼失明及び左眼の視力0.04(3級)の既存障害がある飲食店経営者(固定時74歳,軽症の左眼外傷性視神経症を発症し,両眼失明別表第2の1級1号,右足膝下切断による5級の併合1級)につき,糖尿病の既往症による寄与を左眼失明につき5割,右足膝下切断につき8割として,後遺障害慰謝料1500万円を認め,事故前は日常生活の介助も不要で居酒屋の調理等も行っていたが,事故後稼動不能となり,外出や食事等にも介助を要するようになったことを理由に既存障害を斟酌しなかった。
  ・ 14歯の既存障害歯(10級)を有する派遣社員(銀行支店長付運転手,来客対応),新聞配達(固定時51歳)につき,事故による2歯喪失は加重障害とはならないが,義歯を装着すれば外観に影響せず,発語やそしゃくに支障がなくなるとしても,歯の喪失による精神的苦痛が生じないとはいえず,既存障害歯,喪失歯の数,メンテナンス等に一定の費用や手間がかかると推認されること,逸失利益は認められないことも考慮し,後遺障害分160万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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