【コラム】:バス転落事故の損害賠償請求について

2016-01-17

平成28年1月15日,長野県軽井沢町でスキー場に向かうバスが崖から転落して15人(うち12人が乗客)が死亡する悲惨な事故が発生しました。
若く未来ある多数の命が失われました。ご逝去を悼み,謹んでお悔やみ申し上げます。

この大事故のように,バスやタクシーなど,運送車両に乗車中に事故被害に遭うことは少なくありません。
そこで,バスやタクシーなど,運行車両に乗車中に死亡事故の被害にあったご遺族が,今後の生活を維持していくためにも,どのようにして適正な金額での損害賠償請求を行うかについて,ご説明させていただきます。

 

①賠償義務者について
損害賠償義務者としては,運転手,バス(タクシー)会社,保険会社が考えられます。
運転手は,加害事故を起こした本人として,民法709条に基づき賠償責任を負います。
バス(タクシー)会社は,加害車両の保有者であって,運行業を行い,また従業員が業務中に事故を発生させたのであるから,自賠法3条,民法715条,商法590条に基づき賠償責任を負います。
そして,バス(タクシー)が保険加入していた場合,保険会社も賠償責任を負います。運転手やバス(タクシー)会社に多額の賠償額を支払う資金力があれば別ですが,実際の支払は,保険会社が行うことになります。

②損害賠償の項目
主に,ⅰ治療費,ⅱ慰謝料,ⅲ死亡逸失利益,ⅳ葬儀関係費が請求できます。
詳しくは「ご家族がお亡くなりになられた方へ」をご覧ください。

ⅱ慰謝料について,弁護士基準(裁判基準)で請求できますが,速度超過などの悪質運転や,長時間運転などの違法な運行管理が常態化したことが原因である場合,さらに増額した請求が可能です。
この事実を確認するために,刑事記録を取り寄せする必要がありますが,刑事裁判に被害者参加することを,おすすめしています。
刑事裁判に被害者参加することで,捜査機関によってどんな刑事記録(証拠)が収集できたかが確認でき,スムーズに刑事記録の取り寄せができます。また,刑事裁判で被害感情を訴えることや事件の真相を知ることにも繋がります。
詳しくは,「被害者参加制度について」をご覧ください。

③具体的な損害賠償額について
多くの場合,保険会社は,自賠責から回収した金額をエスカレーター式にご遺族に支払うだけで済ませようとします(保険会社は自腹を切ろうとしません)。そのため,ご遺族自身で交渉する多くの場合,自賠責から支払われる保険金≒保険会社の提示額となります。

具体的に,「22歳」「大学生」「両親あり」「未婚」の方がお亡くなりになって,「葬儀関係費用150万円を要した場合」について,ⅰ自賠責基準,ⅱ弁護士基準(裁判基準)で賠償額を計算してみます。

ⅰ自賠責基準
⑴(自賠責基準の)葬儀関係費
葬儀費用,仏壇,墓碑の購入費用などです。
60万円です。ただし,請求書,領収書などで60万円を超えることが証明できる場合は,上限100万円が支払われます。
したがって,具体的案件の場合,100万円です。
⑵(自賠責基準の)慰謝料
慰謝料には,㈠被害者本人の慰謝料,㈡ご遺族の慰謝料があります。
㈠被害者本人の慰謝料
350万円です。
㈡ご遺族の慰謝料
被害者の父母,配偶者,子供の人数で異なります。
1人で550万円,2人で650万円,3人以上で750万円です。
なお,被害者に被扶養者がいる場合,さらに200万円が加算されます。
したがって,具体的案件の場合,1000万円です。
⑶(自賠責基準の)死亡逸失利益
生きていれば得られるはずであった収入が失われた損害です。
(自賠責基準の)死亡逸失利益は,次のとおり計算します。
(㈠被害者の年収-㈡被害者の年間生活費)×㈢就労可能年数によるライプニッツ係数
㈠被害者の年収
有職者は,事故前年の年収or年齢別平均給与額(年額)の高い方です。
学生や主婦,無職者は,全年齢平均給与額(年額)です。
㈡被害者の年間生活費
被害者に被扶養者がいる場合は,年収の35%です。
被害者に被扶養者がいない場合は,年収の50%です。
㈢就労可能年数によるライプニッツ係数
就労可能年数は,原則として67歳までの期間です。
ライプニッツ係数は,就労可能年数に応じて決まっています。
したがって,具体的案件の場合,(㈠330万円-㈡165万円)×㈢17.7741=2932万7265円です。
以上より,自賠責の保険金は,合計4032万7265円となります。
自賠責の上限は3000万円ですので,自賠責の保険料は3000万円ですが,保険会社からは,3000万円を超える合計4032万7265円の提示があることが想定されます。

ⅱ弁護士基準(裁判基準)
⑴(弁護士基準の)葬儀関係費用
150万円と認定されることが多いです。
したがって,具体的案件の場合,150万円です。
⑵(弁護士基準の)慰謝料
被害者本人の慰謝料,ご遺族の慰謝料を合計して,一家の大黒柱であれば2800万円,母親・配偶者であれば2400万円,独身者であれば2000万円~2200円と認定されることが多いです。
ただし,速度超過などの悪質運転や,長時間運転などの違法な運行管理が常態化したことが原因である場合,さらに1割程度増額した金額で認定される可能性があります。
したがって,具体的案件で,速度超過などの悪質運転や,長時間運転などの違法な運行管理が常態化したことが原因であることが証明できた場合,2500万円です。
⑶(弁護士基準の)死亡逸失利益
(弁護士基準の)死亡逸失利益は,次のとおり計算します。
㈠基礎収入×(1-㈡生活費控除率)×㈢就労可能年数によるライプニッツ係数
㈠基礎収入
被害者の年収です。大学生の場合は,大卒者の平均給与額となります。
㈡生活費控除率
一家の大黒柱であれば40%,母親・配偶者であれば30%,独身男性であれば50%です。
㈢就労可能年数によるライプニッツ係数
就労可能年数は,原則として67歳までの期間です。
ライプニッツ係数は,就労可能年数に応じて決まっています。
したがって,具体的事案の場合,㈠640万5900円×(1-㈡50%)×㈢17.7741=5692万9553円です。
以上より,弁護士基準の賠償額は,合計8342万9553円となります。

④損害賠償請求の流れ
ⅰ治療費や葬儀関係費の支払交渉

治療費や葬儀関係費の支払いは,直ぐに発生しますので,保険会社に対して,対応するように交渉します。
ⅱ賠償金の一部請求(自賠責への請求)
しまかぜ法律事務所では,事故態様の分析や慰謝料増額のために有利な証拠を収集するためにも,刑事裁判の被害者参加をおすすめしていますが,刑事裁判が終わって刑事記録が取り寄せ可能になるまで,事故から半年ほどかかることも少なくありません。
刑事記録を証拠として最終の示談交渉するのに時間がかかりますので,ご遺族の生活のためにも,保険会社に賠償金の一部請求を行ったり,自賠責に保険金を請求します。
ⅲ最終の示談交渉
刑事裁判への被害者参加の結果,収集した刑事記録を証拠として,適正な過失割合,賠償額で示談交渉を行います。
ⅳ民事裁判
適正な賠償額を示談交渉で解決できることが大半ですが,保険会社の態様が不当な場合は,民事裁判を行います。

 

損害賠償請求の結果,多額の賠償額を獲得することができますが,加害者(保険会社)から支払われる賠償金は,非課税です。

 

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