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【コラム】:慰謝料(26)

2024-06-28

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(3)近親者の慰謝料
   重度の後遺障害の場合には,近親者にも別途慰謝料請求権が認められます。
  ・ 死亡の場合でなくとも,死亡に比肩するような精神的苦痛を受けた場合には,近親者にも慰謝料請求権が認められるとした(最判昭33年8月5日 民集12・12・1901 判事157・12)

 ① 1級の事例
  ・ 小学生(固定時8歳,植物状態1級)につき,傷害分424万円,後遺障害分2800万円のほか,未婚の母として単身被害者を養育しその成長を楽しみにしていたが,事故で被害者の進学等の夢を奪われ,老いるまで被害者の看護にあたらなければならず,被害者の将来に不安を抱くこと等を総合して,母に800万円を認めた。
  ・ 主婦(固定時57歳,凶暴性を伴う高次脳機能障害1級)につき,本人分2800万円,夫及び長男各250万円,次男及び三男150万円,合計3600万円を認めた。
  ・ 兼業主婦(固定時45歳,四肢不全麻痺等1級)につき,傷害分360万円のほか,本人分2800万円,夫400万円,子2人各200万円,父母各100万円,後遺障害分合計3800万円を認めた。
  ・ 財団職員(固定時45歳,全身緊張,排泄・意識障害等1級)につき,傷害分417万円のほか,本人分2700万円,妻及び子3人各300万円,後遺障害分合計3900万円を認めた。
  ・ 中学生(固定時15歳,脳挫傷後の後遺障害1級)につき,傷害分400万円のほか,本人分2800万円,子の将来の成長への楽しみを奪われ将来に不安を抱きながら介護する生活を余儀なくされた父母各500万円,後遺障害分合計3800万円を認めた。
  ・ 主婦(固定時60歳,脳挫傷後の寝たきり状態1級)につき,傷害分266万円のほか,本人分2800万円,夫300万円,長女及び養子となった長女の夫各200万円,後遺障害分合計3500万円を認めた。
  ・ 高校生(固定時23歳,遷延性意識障害1級)につき,傷害分700万円のほか,本人分2800万円,父母各400万円,後遺障害分合計3600万円を認めた。
  ・ アルバイト(固定時25歳,高次脳機能障害1級)につき,傷害分350万円のほか,本人分2800万円,父母各500万円,後遺障害分合計3800万円を認めた。
  ・ 新聞配達員(固定時67歳,食事,整容,上半身の更衣,車椅子での移動,昼間の自己導尿,ベッド上での自己体転は可能である胸腰椎部以下の完全麻痺,両側下肢全廃1級)につき,傷害分400万円のほか,本人分2800万円,妻400万円,子2人各200万円の後遺障害分合計3600万円を認めた。
  ・ 会社員(固定時39歳,胸髄損傷による両下肢麻痺等1級)につき,傷害分370万円のほか,本人分3000万円,父250万円,法律上の母ではないが,事故当時既に父と同居して内縁関係にありその後法律婚し,現にかつ将来にわたって介護に当たる事実上の母に250万円,合計3500万円を認めた。
  ・ 被害者(固定時35歳,失語,発語困難,四肢体幹不全麻痺,嚥下障害,精神症状等1級)につき,事故類型からもドライブレコーダー等の証拠からも過失責任は明らかであるが,加害者が過失責任を一切否認したこと等も考慮し,傷害分440万円のほか,本人分2800万円,父母各500万円,後遺障害分合計3800万円を認めた。
  ・ 中学生(固定時17歳,遷延性意識障害1級)につき,傷害分435万円のほか,本人分3000万円,父母各400万円,姉と兄に各200万円の後遺障害分合計4200万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(25)

2024-06-21

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(2)既存障害のある被害者の事例(2)
  ・ 社会不安障害(9級)の既存障害を有する無職(固定時23歳,高次脳機能障害,左右股関節の機能障害,左顔面神経麻痺に伴う口のゆがみ等,左側頭骨骨折後の左聴力低下別表第1の2級1号)につき,傷害分312万円のほか,本人分2100万円,父母各100万円,後遺障害分合計2300万円を認めた。
  ・ 事故の2年前から腰部痛(労災12級),左手指巧緻障害及び左手の知覚障害(併合14級)の既存障害を有する公務員(固定時46歳,脊髄損傷不全麻痺5級)につき,傷害分220万円のほか,後遺障害分1440万円を認めた。
  ・ 9年前の交通事故による右肩・上肢から手指先の疼痛等(12級)の既存障害を有する新聞配達員(固定時68歳,高次脳機能障害5級)につき,傷害分330万円のほか,後遺障害分1300万円を認めた。
  ・ 第二腰椎変形(11級)の既存障害を有する会社員(固定時54歳,第12胸椎脊柱変形障害6級,右膝痛12級の併合5級)につき,後遺障害の制約の下で思うように就労ができなかったことを考慮し,傷害分175万円のほか,後遺障害分1180万円を認めた。
  ・ 前頭側頭葉変性症のうち失語症群である意味性認知症(3級)の既存障害を有する会社員(固定時55歳,遷延性意識障害1級)につき,傷害慰謝料340万円のほか,後遺障害分2800万円,妻と2人の娘に各100万円,父親に50万円の合計3150万円を認めた。
  ・ 右眼失明及び左眼の視力0.04(3級)の既存障害がある飲食店経営者(固定時74歳,軽症の左眼外傷性視神経症を発症し,両眼失明別表第2の1級1号,右足膝下切断による5級の併合1級)につき,糖尿病の既往症による寄与を左眼失明につき5割,右足膝下切断につき8割として,後遺障害慰謝料1500万円を認め,事故前は日常生活の介助も不要で居酒屋の調理等も行っていたが,事故後稼動不能となり,外出や食事等にも介助を要するようになったことを理由に既存障害を斟酌しなかった。
  ・ 14歯の既存障害歯(10級)を有する派遣社員(銀行支店長付運転手,来客対応),新聞配達(固定時51歳)につき,事故による2歯喪失は加重障害とはならないが,義歯を装着すれば外観に影響せず,発語やそしゃくに支障がなくなるとしても,歯の喪失による精神的苦痛が生じないとはいえず,既存障害歯,喪失歯の数,メンテナンス等に一定の費用や手間がかかると推認されること,逸失利益は認められないことも考慮し,後遺障害分160万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(24)

2024-06-14

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(2)既存障害のある被害者
  ・ 鍼灸マッサージ自営業(固定時50歳,左上肢及び左膝の神経症状併合14級)につき,傷害分138万円のほか,仕事内容,事故前後の眼の障害内容の推移(多少あった視力を完全に喪失したが自賠責の後遺障害等級としては考慮されず)等を勘案して後遺障害分330万円を認めた。
  ・ 前事故でも外貌醜状7級の後遺障害を残している特別養護老人ホーム寮母(25歳,外貌醜状7級)につき,逸失利益が認められない点を考慮し,さらに前の顔面醜状は減額要素とはならないとして1100万円を認めた。
  ・ 左膝人工関節置換術により8級に相当する既往症を有していた主婦(固定時68歳)につき,同手術により膝の疼痛から解放されていたにも関わらず事故によって再び左膝関節の疼痛に苦しめられるようになったこと等を考慮して,左膝疼痛12級の後遺障害に基づく逸失利益を認めたほか,後遺障害慰謝料300万円を認めた。
  ・ 建設作業員(25歳,高次脳機能障害5級)につき,本件事故前から別件事故によって高次脳機能障害5級の認定を受けており,自賠責では加重障害に至らないとして非該当であったが,傷害の内容及び程度,入通院状況,残存した後遺障害の程度及び内容と本件事故によって生じたものと同種の後遺障害が残存していたこと等の事情から500万円を認めた。
  ・ 自己が創業した会社勤務の被害者(85歳)につき,従前から右足が不自由であり歩行が困難であったが,歩行困難の障害が本件事故によってどの程度重症化し,日常生活に支障が生じることになったかは必ずしも明確ではないが,杖をつくような状態になっていることが認められ,ある程度の症状が悪化したことは確かであるとして,傷害分60万円のほかに,後遺障害分60万円を認めた。
  ・ 股関節機能障害10級の既存障害を有する主婦(固定時80歳)の右膝関節機能障害12級相当と骨盤骨変形障害12級相当につき,既存障害を含む加重障害とした上で既存傷害分を差し引く手法と,既存障害を考慮せずに本件事故による後遺障害の程度を検討しそれに対応した後遺障害慰謝料額を試算し,いずれか大きな方を採用するのが合理的として,12級と評価すべき独立の後遺障害2つを併合した11級の慰謝料の方が上回っているとして,後遺障害分400万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:6月は小学生、中学生、高校生の事故が増加

2024-06-07

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると、令和元年から令和5年までの5年間の交通死亡事故等を分析した結果、6月は小学生、中学生、高校生の事故が増加する傾向があることが分かりました。
 https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/202406point.pdf

 小中高生の歩行者の死傷者の実態としては、6割以上が横断中の事故で、そのうち約8割が信号のない場所での事故となっています。
 信号のない場所で横断するときは、手を挙げて車に気付いてもらう行動を取る、車が停止したことを確認してから渡る、渡っているときも左右の安全を確認することが大切です。

 次に、小中高生の自転車死傷者の実態としては、出合頭の事故が約7割となっています。一時停止の規制がある場所では必ず停止する、左側通行を徹底することで、出合頭の事故を防ぐことができます。
 また、ヘルメットの非着用が約8割となっています。自転車による交通事故は衝撃が生身に伝わるということもあり、ヘルメットを着用しないと死亡につながりやすく、死亡に至らなくても、頭部を損傷することで、遷延性意識障害や高次脳機能障害となることもありますので、ヘルメットは必ず着用しましょう。

 連日、小中高生が交通事故の被害に遭う悲しいニュースを耳にします。新生活も2ヶ月が経過し、通学に慣れが生じやすい季節となりますので、一時停止などの基本的なルールを守るなど、正しく安全な交通行動を実践し事故を防ぎましょう。
 ドライバーの方も、朝・夕の出退勤時間が登下校時間と重なることから、交通事故の危険を予測し、見通しの効かない交差点や横断歩道手前での安全確認を確実に行うようにしましょう。

 では、小中高生が交通事故の被害に遭った場合どうすれば良いでしょうか。
 小中高生が交通事故に遭った場合も、大人と同じように症状固定日までの治療費や慰謝料等が支払われます。
 また、入院付添費や、症状により一人での通院が困難な場合は通院付添費が認められることがあります。付き添いのために付添者が仕事を休んだ場合は、付添者の休業損害が支払われる場合もあります。
 その他、長期間の休学等によって進級遅れが生じた際の授業料や補習費、家庭教師、塾の費用等が損害として認められる場合もあります。
 
 後遺障害が認定された場合は、逸失利益が支払われますが、労働能力喪失期間は原則18歳からとなります。大学卒業を前提とする場合は、大学卒業時となります。
 また、基礎収入は、若年労働者(事故時概ね30歳未満)として、全年齢平均の賃金センサスを用いるのが原則となっています。
 
 小中高生が交通事故の被害に遭ったら、大人に比べ身体が小さい分、受ける衝撃は大きく、死亡事故につながったり、重篤な障害が残ることも多くあります。
 死亡事故や重篤な障害が残った場合は、賠償額が高額となりますので、適正な賠償額を加害者から受け取るためには、実績のある交通事故専門の弁護士が交渉することが不可欠です。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は、こどもの交通事故について解決実績が豊富にありますので、小中高生の交通事故についてお困りの方は、ぜひ、ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(23)

2024-05-31

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ⑮ 自賠責法の後遺障害に至らないか該当しない事例(2)
   ・ 厨房機器用品の販売等(事故時26歳)につき,下口唇外側の長さ1cmの凹凸を伴う線状瘢痕は非該当だが,顔面の正面で一目で判別できる程度に盛り上がり赤く変色していること,事故前後に接客,営業等を行う職に就き精神的苦痛を被っていることから,男子であるとはいえ慰謝料により慰謝するのが相当な程度に至っているとして,傷害分36万円,後遺障害分60万円を認めた。
   ・ ガソリンスタンド及び宅配従業員(17歳)につき,14級には該当しない程度の上半身及び後頭部に複数の瘢痕等が残存しており,瘢痕は衣服等により隠れる部位であり,労働能力や日常生活に直ちに影響を及ぼすものではないが,プールや銭湯等の利用において相当程度の精神的苦痛を与えるものであるとして,後遺障害慰謝料50万円を認めた。
   ・ 高校1年生(固定時18歳,右小指可動域制限(用廃)13級6号)につき,右小指中節骨開放骨折等により入院5回(計82日)含む治療期間32.5か月(実通院95日)と入院通院期間が高校生活のほとんどを占めたこと,加害車両が事故後停車せず立ち去ったこと等から傷害分350万円を認めた。また,醜状痕(右小指から手背への傷跡10×65mm・5×30mm),右小指の変形,右肘の傷跡70×35mmは,労働能力を喪失させるものとはいえず,慰謝料で考慮されるべきものとして,後遺障害分230万円を認めた。
   ・ 病院勤務(事故時24歳)につき,右上瞼外側の線状痕(約7×1mm程度)は非該当だが,顔面の瘢痕であり,金銭的慰謝が相当というだけの精神的苦痛が生じたとはいい得るものの,大きさに照らし,顕著な精神的苦痛を伴うものとは評価できないとし,後遺障害分20万円を認めた。
   ・ 被害者(年齢不明)につき,長管骨変形に該当しない左手尺骨茎状突起の所見,左手関節の関節可動域の一部制限及び左手の痛み等は,それぞれ後遺障害等級に該当するとまではいえないものの,今後の職業選択にも一定の制限がありうること等を理由に,傷害分150万円,後遺障害55万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(22)

2024-05-24

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ⑮ 自賠責法の後遺障害に至らないか該当しない事例(1)
   ・ 消防士(固定時54歳,歯牙障害12級(14級の加重))につき,自賠責基準に達しない手指及び肩関節の機能障害,自賠責認定基準のない深視力(立体視能力)も喪失しており,労働能力喪失率15%,傷害分235万円,後遺障害分300万円を認めた。
   ・ 頸椎後縦靱帯骨化症で通院治療中の無職(66歳,頸椎捻挫,右肩打撲非該当)につき,逸失利益の請求はなかったが,事故後神経症状が悪化し,生活等への支障も生じていること,本件事故が医師から禁止されていた首への強い衝撃であることから,神経症状悪化を後遺障害として評価するのが相当として,後遺障害慰謝料110万円を認めた。
   ・ 小学生(固定時8歳)につき,加害車両に右大腿部を轢過されたことによる右大腿骨骨折後の下肢醜状が,自賠責後遺障害等級上の外貌には該当しないものの,軽視できない苦痛を与え続ける醜状痕であるとして,傷害分250万円のほか,外貌醜状の標準的な慰謝料額の3分の1程度を認めるべきとして,100万円を認めた。
・ クラブホステス(事故時30歳,神経症状14級,醜状障害下顎付近に2ミリ×2.5センチ,頸部4ミリ×1.5センチで非該当)につき,傷害分160万円,後遺障害分140万円を認めた。
   ・ 会社員(固定時32歳,右前頭部線状痕の外貌醜状非該当,左大腿部痛・腰痛の神経症状12級,股関節機能障害12級の併合11級)につき,顔面の線状痕は労働能力喪失率の算定では考慮できないが,周囲の視線が気になるなど対人関係等に消極的になる可能性は否定できず,後遺障害慰謝料の増額事由として斟酌し,傷害分297万円,後遺障害分500万円を認めた。
   ・ 被害者(年齢不明)につき,14級には該当しない程度の身体(首,肩,腰)の痛み及び精神症状(不安,不眠,交通状況による不安と回避等)の症状は症状固定後もなお残存するから後遺障害だとし,症状経過(治療開始約8ヶ月20日)や程度等から,後遺障害分50万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(21)

2024-05-17

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ⑭ 14級の事例(2)
   ・ 眼科医(公務員)(事故時30歳,左手に振戦14級)につき,手術ができなくなり,研究職の眼科医に転向せざるを得なくなったことにより減収が生じていること等を考慮し,逸失利益(12%,10年)のほか,後遺障害分210万円を認めた。
   ・ パイロット(頸椎捻挫,腰椎捻挫14級)につき,後遺障害の内容,程度のほか,従事する職業を踏まえた将来に対する不安等を総合考慮し,傷害分170万円,後遺障害分180万円を認めた。
   ・ 女児(9歳,右下肢の醜状痕14級,背中の醜状痕非該当)につき,逸失利益を労働能力喪失率5%,就労後5年間認めた上で,醜状について心ない言葉を受けることが多いなど,種々の支障が生じていることから250万円を認めた。
   ・ タクシー運転手(固定時59歳,両下肢の疼痛,しびれ,腰の疼痛,頸部から両肩部にかけての強い痛み14級)につき,傷害分140万円のほか,神経根の圧迫もあり,外出時腰のコルセットをしている必要があり,座位により腰痛がひどくなっており,両下肢のしびれもひどくなっていること等を考慮し,後遺障害分180万円を認めた。
   ・ 福祉施設送迎運転手(事故時55歳,左膝の神経症状14級)につき,医学的な証明を伴う器質的なものであるとは認められないものの,軟部組織の一部について一定の変化があること,症状内容が神経症状としてはある程度強度のものに属することなどを考慮すると,一般的な基準の範囲に収まらない特別の事情があるとして,傷害分190万円,後遺障害分150万円を認めた。
   ・ 日本に留学中に結婚した有職主婦(事故時33歳,非器質性精神障害14級)につき,症状固定後も一定の治療を受ける必要があり,治療で服用している薬は妊婦や新生児に副作用が生じる可能性があることを指摘されており,そのため第2子の出産を断念せざるを得なくなったとして,傷害分124万円,後遺障害分150万円を認めた。
   ・ トラック運転手(事故時54歳,左頚部痛14級,腰背部痛14級,左耳鳴14級の併合14級)につき,傷害分107万円,後遺障害が3つの部位に及ぶことを勘案し後遺障害分150万円を認めた。
   ・ ビル管理業務に従事する会社員(固定時38歳,右肩疼痛14級,右肩関節可動域制限非該当)につき,関節可動域が健側の4分の3以下に制限されていないが,就労上看過することができない程度のものであり,業務に支障を生じているとして,13級相当の労働能力喪失率を認め,傷害分155万円のほか,後遺障害分180万円を認めた。
   ・ 大学生(19歳,右上腕骨骨幹部骨折による神経障害14級)につき,後遺障害に至らない瘢痕が残っていること,骨折部に金具が残ったままであることを考慮して後遺障害分160万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(20)

2024-05-10

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ⑬ 13級の事例
   ・ 主婦(67歳,労働能力に影響のない蝶骨障害,左手の障害13級)につき,約30年にわたってやっていた能管(能の舞台等で演奏する横笛)が全く出来なくなり小鼓が長時間続けられなくなったとして,傷害分210万円,後遺障害分300万円を認めた。
   ・ 会社員・メカニック(固定時26歳,左手ひとさし指欠損等13級)につき,左手ひとさし指の激痛,左足の痛みで立ち作業が困難となりメカニックを断念したことに鑑み,傷害分70万円,後遺障害分200万円を認めた。
   ・ 主婦(固定時51歳,頸部痛14級,視力低下13級の併合13級)につき,220万円を認めた。
   ・ 女児(固定時3歳,片方の腎臓の機能喪失13級)につき,成人期に達するまで定期的な検査が必要とされること,今後腎機能の全廃の危険性等の不安を抱えながら生活していくことを余儀なくされること等から後遺障害分230万円を認めた。

  ⑭ 14級の事例(1)
   ・ 石工(38歳,左上肢の知覚障害等)につき,巧緻な手作業と集中力を要求される仕事の特殊性,唯一の生業としてきた石工の仕事に復帰することが困難な状況に置かれていること等から180万円を認めた。
   ・ 会社員(固定時47歳,頭部外傷後遺症・外傷性頸部症候群14級相当)につき,事故の3年後に体幹機能障害(起立困難)で身体障害等級2級の認定を受けたことは事故前からのベーチェット病の進行によるとしたが,事故のストレスが進行を早めた可能性があるとして,傷害分100万円,後遺障害分150万円を認めた。
   ・ メキシコでプロサッカー選手として活躍した実績を有する被害者(事故時27歳,寒冷時,運動時,長時間の起立時における右足関節の痛み14級)につき,将来,数年間はいずれかのチームでプロサッカー選手として活躍する機会があったと推測されるとし,事故により事実上プロサッカー選手としての選手生命を絶たれたことから,250万円を認めた。
   ・ 会社員(固定時32歳,膝関節と頸椎の神経症状各14級,併合14級)につき,事故が退職に原因を与えたことは否定できないこと,被害者に落ち度は無いこと,症状固定後も自己負担で接骨院等に通っていること,加害者の事故後の対応には誠実さを欠いていたこと等を考慮して250万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:連休中の交通事故にご注意ください

2024-04-26

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,令和元年から令和5年までの5年間の大型連休中の交通事故の死者数は23人となっています。
 年齢別で見ると高齢者が65%となっています。当事者別では歩行者が最多,事故類型別では横断中及び単独事故多くなっております。
 連休中は,帰省,レジャー,買い物等で外出する機会が増えますので,出かける際は無理のない運転計画を立て,スピードを控えるなど安全運転を心がけることが大切です。特に高齢者の事故が多いので,高齢者を見かけたら,速度を落とし安全な距離を保つなど,思いやりを持った運転をしましょう。
 https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/202405point.pdf

 では,もし連休中に交通事故の被害に遭ったら,どうすれば良いでしょうか。
 交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費等でお困りになる危険を回避します。
 ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。

 お怪我をされた場合,連休中は医療機関が休診していたり,忙しくて医療機関に受診ができない,交通事故から数日後に痛みが生じたなど,気づいたときには事故から2週間以上経過していることもあります。
 この場合,相手方の保険会社やご自身が加入している人身傷害保険に対して,医療機関への受診を希望しても,事故から2週間以上経過している場合は,初診遅れによる因果関係なしと治療費の対応を拒絶されることがほとんどです。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,初診遅れで治療費の対応を拒絶された場合,初診遅れの意見書を添付の上で,直接,自賠責に治療費や慰謝料などを請求し,保険金を回収しています。

 また,後遺症が残る事案では,保険会社からの賠償額の提示を待ってから弁護士に相談していては遅い場合があります。
 いつ依頼されても弁護士の費用に変わりはありませんので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,早期にご相談ください。

 その他,交通量が増えることで,「あおり運転」の被害に遭う可能性もあります。
 もし,「あおり運転」の被害に遭ったら,まずは,サービスエリアやパーキングエリア等,交通事故に遭わない場所に避難して,警察に110番通報をしてください。また,「あおり運転」の加害者から暴行を受けないように,車のドアや窓をロックし,車外に出ないようにしましょう。
 車が損傷したり,事故によってケガをした場合は,損害賠償を請求することができます。
 「あおり運転」の立証には,ドライブレコーダーが有効になりますので,ドライブレコーダーの取付をお勧めします。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ドライブレコーダーや事故の現場図を分析して,「あおり運転」に伴う正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしていますので,お困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(19)

2024-04-19

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ⑫ 12級の事例(2)
   ・ 被害者(固定時9歳,左顔面裂傷等で約8年4か月の治療後に顔面醜状,線状痕2ヵ所12級)につき,加害者が飲酒して居眠り運転により事故を起こしたこと,被害者が皮膚移植の手術を繰り返したことを考慮し,傷害分222万円,後遺障害分784万円を認めた。
   ・ 塗装会社代表者(固定時67歳,左肩関節の可動域制限,左肩関節の筋力低下,上腕骨頭の約3分の1の欠損12級)につき,350万円を認めた。
   ・ 被害者(固定時43歳,左脛骨骨折後変形治癒12級のほか左膝関節の疼痛及び不安定が残存)につき,本件事故による骨折の手術中MRSAに感染し,左膝化膿性慢性骨髄炎といういつ再発するか分からない疾患を抱える状態となったことを考慮し,傷害分450万円,後遺障害390万円を認めた。
   ・ 移動式クレーン運転士(固定時41歳,左肘関節の機能障害12級,左手関節痛14級,右膝痛14級の併合12級)につき,事故時まで約13年にわたり経験を積み技能を習得してきた移動式クレーン運転士としての稼働に対する支障が大きく,長年にわたって特化してきた労働能力を大きく失わせるものとして,20%の労働能力喪失率を認め,傷害分120万円のほか,後遺障害分420万円を認めた。
   ・ 解体業者(固定時55歳,左鎖骨骨折後の難治性疼痛12級)につき,痛みをはじめとした症状自体は相当に強いと考えられ,就労への現実的な影響も無視できず,少なくとも精神的苦痛に関しては,労働能力喪失率14%として考えられる平均的な事案(12級相当)を大きく上回るなどして,傷害分341万円のほか,後遺障害分400万円を認めた。
   ・ 高校生(固定時19歳,左足疼痛12級,左足瘢痕14級の併合12級)につき,固定後に大学医学部に入学し医師として就業する蓋然性が高いことを考慮し,基礎収入を女性医師の平均賃金として逸失利益を算定したほか,将来における医師としての進路選択に一定の影響を及ぼし得る程度のものであったことを考慮して後遺障害分390万円を認めた。
   ・ 主婦兼フラダンス教室経営(事故時43歳,左鎖骨骨折後の左鎖骨の変形障害)につき,自賠責保険では後遺障害に該当しないものの顔面に傷跡が残存したことや骨盤骨折等の影響で左足を少し引きずる等の自覚症状のため教室での指導がままならなくなったこと等に照らし,被告が争わなかった22年間14%の逸失利益を認めたうえで,多発骨折等で1071日間(うち入院97日)の傷害分350万円のほか,後遺障害分350万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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