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【コラム】:物損(7)

2025-04-11

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3.買替差額
(2)車両時価の算定例(2)
・ 98年式ハーレーダビッドソン誕生95周年限定記念モデル(生産台数3000台)につき,購入額100万円以上の損害を認定することは,所有している物の客観的価値を回復させるという点で,原状回復以上の利益を与えることにならないとして,時価額230万円を損害額とした。
・ 新車登録後10年2か月,累計走行距離約139万kmのトラクタにつき,原告会社で稼働中の46台中,新車登録後12年以上の車両が12台あり,うち3台は15年以上経過していること,被害車両の累計走行距離を超える車両は8台あり,15年以上経過している車両の累計走行距離はすべて175万kmを超えていることから,耐用年数を法定の5年ではなく,15年として,購入価格1296万円に定率法による残価率0,215を乗じた278万6400円を車両時価額とした。
・ メーカーオプション付きのレクサスRXについて,メーカーオプションは,車両の価値向上に資するオプションで,かつ容易に他の車両に転用が効くものではないことから,その価格は,車両時価額に加算して計算すべきとした上で,メーカーオプションによる価値の増加も,車両本体と同様に購入価格から2割を減価した8割に限定されるとして,車両本体の時価額524万4000円にメーカーオプション分26万0400円を合算した金額を時価額とした。
・ カーボンフレーム等が損傷したスポーツバイクの自転車(2年前に58万9000円で購入)につき,時価は,適当な中古市場がないため減価償却の方法で算定するほかなく,スポーツバイクとして負荷のかかる使用が予定されている一方,用途に応じた耐久性を備えていることに鑑み,耐用年数を5年として減価償却した42万4080円とし,修理費用(66万0588円)が時価を上回るとして,経済的全損とした。
・ 初年度登録後10年,走行距離15万4700kmの洋型霊柩車につき,特殊用途の車両は,中古車市場に多数流通しているわけではないため,取得価格から一定の方法で減価して時価を把握する方法によることもやむを得ないとし,ベース車両(トヨタ・クラウンエステート)の新車価格367万5000円に改造費用412万2500円を加えた779万7500円を新車価格とした上で,ベース車両のレッドブックに基づく減価率約71%を控除した226万1275円から走行距離による減価をした195万1275円を認めた。
・ 事故に先立つ10日前に有効期間1年の車検を受けた事業用中型貨物自動車(冷凍車,初年度登録後16年,走行距離92万km)の経済的全損の事例について,車両時価額101万円(新車価格の10%)のほか,残存車検期間に相当する車検整備費用49万9059円について相当因果関係ある損害とした。
・ スバル・ディアスワゴンの車両時価の算定について,レッドブック掲載価格の42万円を基本として,同書の加減評価参考値において,車検の有効期限が4か月未満の場合3万5000円を,走行距離が約11万km,初年度登録から120か月以上経過している場合には7万円をそれぞれ控除することになっていることから,車両損害額を31万5000円と認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(6)

2025-04-04

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3.買替差額
(2)車両時価の算定例
・ 登録後14年余を経過して評価額0円の小型乗用車につき,車検期限までの96日間,1日2000円の割合による19万2000円の使用価値を認め,この使用価値相当額をもって車両損害とした。
・ 事故の約2か月前に購入したばかりで経済的全損となった中古車(平成2年登録,平成12年購入)につき,実際の購入価格をもとに,定率法(償却期間6年間)による減価償却を行った。
・ 初年度登録から10年,走行距離約13万km,ロリンザー(西ドイツのベンツ用パーツの会社)パーツ装着のベンツ(500SEL)につき,車両の時価および損傷したパーツ代金について民訴法248条を適用し,新車価格の15%にあたる228万円を損害額とした。
・ 2年経過の営業用貨物自動車につき,同型式,同年式の車両の時価は230万円であると認め,事故発生直前に29万円余を支払い車検を受けたことを考慮して,代替車両調達価格を250万円とした。
・ インペリアルルバロンYK44につき,クラシックカーとしての価値があることを示す証拠はないから修理見積もり以上の価値は認められないとし,車両価格がオートガイド社からの聞き取りで65万円から100万円までが相当とされたことなどから,買替に伴う諸費用を考慮して,損害額を100万円とした。
・ 自動車販売会社が顧客に新車(トヨタ・クラウンロイヤルサルーン)を納車する際に生じた事故につき,改めて新車を調達したことによる車両本体価格,メーカーオプション価格,付属品価格,税金,諸費用等合計468万円余から,被害車両の本件事故による損傷を修理しない状態の評価額358万円余を控除した額を損害と認めた。
・ 郵便物集配業務のため郵便金庫等の特別仕様を施した郵便車(事故当時の標準社のレッドブック価格34万1000円)につき,当該使用の同種同等の中古車の一般市場がない場合については,同種同等の中古車取得価格に同種同等の使用を施した場合に要する価格を加えたものとしたうえ,特別仕様分の価格55万円についても車体本体と同比率程度の経年による減価(標準社の新車価格とレッドブック価格の比較により37%)を考慮して20万3500円とし,合わせて54万4500円を時価額とした。
・ 被害車両と同程度の車両を購入した場合には消費税相当額が加算されることから,被害車両時価額の消費税分3万0900円についても相当因果関係のある損害と認めた。
・ 減価償却後簿価0円のトラクタ,セミトレーラーにつき,大幅に減額された価格で大量購入していたこと,運送業界において法定耐用年数を大きく超えて使用することが少なくないこと,保安基準緩和の認定を受けていたこと,セミトレーラー部分は基準緩和により積載量が増加していたことから,トラクタ部分については新車価格を基礎に,セミトレーラーについては新車価格に1割加算した金額を基礎に,それぞれ耐用年数10年(残存率0.108)として128万円4120円,80万8315円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(5)

2025-03-28

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3.買替差額
物理的または経済的全損,車体の本質的構造部分が客観的に重大な損傷を受けてその買替をすることが社会通念上相当と認められる場合には,事故時の時価相当額と売却代金の差額が認められます。
車両の時価は,原則として同一の車種・年式・型,同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価額です。

(1)買替の要否
・ ベンツ600を修理せずに新車に買い替えた場合につき,事故当時の時価額と事故後の時価額の差額722万8000円は車両損害と認めず,修理費509万円余を車両損害とし,ベンツの安全性をどの程度重視する(どの程度安全性に不安を感じる)かは,もっぱら主観的な問題であるから,買替の費用を加害者に負担させるのは相当とは言えないとした。
・ 価格722万円余の新車ベンツが引き渡しの20分後に追突された場合(未修理状態での下取価格は最高でも130万円)につき,既に一般車両と同様に行動において通常の運転利用に供されていた以上,引き渡し直後だったことは,新車の買い換えを肯定すべき特段の事情とまではいえないとして,新車の買替を前提とした車両損害の請求は認めず,修理費339万円をもって車両損害とすべきであるとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(4)

2025-03-21

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

2.経済的全損の判断(2)
 ・ 10年9か月経過のキャリアカーにつき,税法上の償却期間はすでに経過していたものの,原告会社では新車登録後12年ないし15年の車両が多数走行し,営業に使用されていることから,新車価格1094万円,15年経過後0円とし,定額で減価すると11年後の価値は290万円になるとして,修理費219万0552円を認めた。
 ・ 事故の約8か月前に130万円で購入したカワサキ・ZRX1200Rの修理費122万7992円につき,同車種・型式・年式の中古車小売価格は新車価格の約85%であると推定されていることから,車両価格を110万5000円と認め,買替諸費用は10万円を超過する場合も多いことから,修理費が車両価格に買い替え諸費用を加えた金額を上回る蓋然性が高いとは認められないとして,修理費をもって車両損害と認めた。
 ・ 平成18年式ヤマハシグナスXF1(124cc)につき,同一の車種・年式・型のものは市場にはほとんど存在せず,インターネットサイトで取引されている平成19年式の同型のもののうち最も走行距離が長く廉価なものが18万9000円で取引されていることから同額を時価相当額とし,本件事故態様等から修理費は時価相当額及び買替諸費用の合計額を上回るとして,時価相当額及び買替諸費用を損害と認めた。
 ・ 被害車両の経済的全損,すなわち,適正修理費用が事故前の被害車両の価格及び買替諸費用の合計額を上回ることは,適正修理費用の賠償を免れようとする加害者において立証する必要があるとし,被害車両の本体価格に電動サンルーフ・カーナビ・アルミホイール等の価格及び消費税等の買替諸費用を加算した価格は,適正修理費用を上回り,経済的全損とは認められないとして,同額の修理費用を認めた。
 ・ 普通自動二輪車(平成16年式,事故は平成25年9月)につき,修理費用は41万6270円程度で,インターネットで同種・同型車を平成16年より年式の古い車に限定して検索すると平均値が33万1863円(19件)であることから,経済的全損として,少なくとも原告主張の33万2000円が時価相当額と認めた。
 ・ タンクローリー(平成25年式,事故は初年度登録から約4年6か月経過した平成29年9月)の時価につき,購入価格665万円を基準に,平成29年度の自動車平均使用年数が16.71年とされていること,被害者がタンクローリーを1番古いもので十何年間使用している旨を述べていることも考慮し,耐用年数を17年,残存価値を10%として361万円余と認めた。
 ・ 初年度登録から約6年経過したタクシー用車両につき,同一の車種・年式・型式の平均中古販売価格を元に時価55万円とした上で,タクシー使用に全塗装する場合,40万円前後の塗装費用を要するとし,塗装費用と最低限必要な数万円程度の買替諸費用を加えた価額は修理費用94万9069円を上回るとして修理費の賠償を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:自転車利用時の交通事故防止

2025-03-14

 愛知県警が作成している「交通事故防止のPOINT」は,現在「道路横断中の交通事故防止」,「自転車利用時の交通事故防止」,「自動車運転中の交通事故防止」,「歩行者の交通事故防止」が公開されています。
 今回は,暖かくなり外出の機会が増えること,春休みになり小中学生の自転車利用が多くなること,新年度になり新たに自転車で登園,通学,通勤する人がいることから,「自転車利用時の交通事故防止」を紹介します。
 https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/R7-2point.pdf

 自転車事故は,約8割が交差点で発生しており,約6割が出合頭事故によるものです。見通しのきかない交差点に進入するときは,必ず徐行するようにしましょう。
 また,自転車死傷者の約8割には何らかの法令違反があります。信号無視,一時不停止,右側通行,携帯電話使用などをせず,交通ルールを守ることで交通事故を防ぐことができます。
 さらに,頭部を負傷してなくなる方が多くを占めていますので,ヘルメットを正しく着用し頭部を守ることで,死亡リスクを減らすことができます。

 自転車は,自動車と違い免許が不要で気軽に乗れることから,小さいお子さまや高齢者の方を含め,普段自動車を運転しない方も,たくさんの方が使用しています。
 しかしながら,自転車による交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な後遺障害が残存する事故につながりやすくなります。
 死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われますが,就労可能年数(67歳)までの年数が長いほど逸失利益は高額となります。
 ただし,67歳を超えている方や67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1よりも短くなる被害者については,原則として,平均余命の2分の1の年数となります。
 逸失利益は,一般的に,死亡事故や後遺障害の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが大切です。

 後遺障害の中で重篤なものとして,頭部を損傷することで生じる,遷延性意識障害や高次脳機能障害があります。
 遷延性意識障害や高次脳機能障害となると,被害者のみならず介護を行う家族の生活が,事故前とでは一変することになります。

 なお,交通の危険を生じさせるおそれのある一定の違反行為(危険行為)を繰り返す自転車運転者に対して,自転車運転者講習の受講が義務づけられておりますが,ながらスマホと酒気帯び運転についても,対象となりました。
 自転車運転者講習は14歳以上が対象となっていますが,ぜひ,13歳未満のお子さまも,信号の遵守,一時停止,左側通行などの基本的なルールを改めて確認していただき,正しく安全に自転車に乗りましょう。

 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,自転車の交通死亡事故や遷延性意識障害,高次脳機能障害の解決実績が豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:物損(3)

2025-03-07

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

2.経済的全損の判断(1)
修理費が,車両時価額(消費税相当額を含む)に買替諸費用を加えた金額を上回る場合には経済的全損となり,買替差額が認められます。下回る場合には,修理費が認められます。
 ・ 物損による被害は,被害物件を修理する以外に同種のものを入手することができないような特別な事情がない限り,被害物件の価値を限度と解すべきものであり,被害者が愛着を持っていた車であるからといって,その価値を上回る修理費を損害と認めることができないとした。
 ・ 同種同年型式の車両は少なくとも1044万円以上はする中古観光バスにつき,観光バスとして業務に使用し,営業の用に供するためには特別の塗装,内装,設備等を要するとして,中古車価格の1.2倍程度の修理費全額である1250万0590円を車両の損害と認めた。
 ・ 1980年製の並行輸入車フェラーリにつき,事故直前の購入時の契約書などの書証が提出されず,事故時の時価は明らかにならないものの,フェラーリは製造後長期間経過したものであっても,カーマニアの間では憧れのスポーツカーとして相当な価値を有しているとし,経済的に修理不能であるとは認められないとして,修理見積費用14万7000円を含め修理費319万3069円を認めた。
 ・ 修理費の額と比較すべき車両全損を前提とする評価損は,車両時価額のみに限定すべき理由はなく,これに全損を前提とした場合に損害と認められるべき車検費用,車両購入諸費用等を含めた額とすべきであり,修理費の額がこれらの合計額を下回る場合は,経済的全損と判断することはできないとした。
 ・ 初年度登録から11年目の乗用車(車種不明)につき,時価額は新車価格の1割の26万円,修理費は39万8870円であるが,経済的全損とすると自動車税,登録費用,納車整備費用等の買替費用合計11万4615円が必要となるので,修理費が経済的全損とする場合を著しく上回るとはいえず,修理費用相当額をもって損害とした。
 ・ 初年度登録後12年以上が経過したトヨタ・スープラにつき,約8か月前に70万円で購入したこと,中古車市場における同種車両と対比して,走行距離も3万kmと極端に少ないことから,日本自動車査定協会の「中古車価格ガイドブック」による24万5000円程度にとどまるとの被告の主張を排斥し,時価は修理費57万2250円を下回ることはないとして,修理費の賠償を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
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【コラム】:物損(2)

2025-02-28

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

1.修理費
(2)修理未了の場合
・ 1966年製メルセデスベンツ250SEカブリオレの修理費用について,修理する場合に要する費用が損害となるから,修理未了の場合であっても,消費税を控除する理由はないとして,430万0401円を認めた。
・ 修理が可能であるが,修理をせずに下取りに出して買い替えたスバル・インプレッサにつき,消費税分を含む修理費用を損害と認めた。

(3)所有権留保車両,リース車両等の場合
  ・ 名目上の所有権はリース会社にあるが,修理・保守の義務はユーザーが負担することになっていることから,修理費用をユーザーの損害と認めた。
・ 所有権留保車両の修理費について,留保所有権は担保権の性質を有し,所有者は車両の交換価値を把握するにとどまるから,使用者は所有者に対する立替金債務の期限の利益を喪失しない限り所有者による車両の占有,使用権限を排除して自ら車両を占有,使用することができる固有の権利を有し,車両が損壊されれば所有者に対し車両の修理・保守を行い担保価値を維持する義務を負うことから,所有権留保車両の損壊は使用者に対する不法行為に該当し,使用者は加害者に対し物理的損傷を回復するために必要な修理費用相当額の損害賠償を請求することができ,請求にあたり修理の完了を必要とすべき理由はないとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
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【コラム】:物損(1)

2025-02-21

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
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1.修理費
修理費が相当な場合,適正修理費相当額が認められます。修理費は,加害者が加入している保険会社の担当者と修理業者とで協議して,交通事故による破損の範囲を確定し,どの程度の修理が必要なのかを決定します(この作業を「協定」といいます)。
修理費が,車両の時価額(+買い替え費用)を超える場合は経済的全損となり,修理費用ではなく,時価額(+買い替え費用)が損害となります。
また,修理費は,修理を実際に行っていなくても,修理費相当額の損害を受けたとして請求できます。

(1)修理の範囲
・ 車両事故で,部品取替えの方が経済的である等の理由がない以上,鈑金修理(3万2540円)によるべきであるとされた。
・ 購入後約2年のキャデラックにつき,すでに色褪が生じており,全塗装(219万7082円)では過大な費用をかけて原状回復以上の利益を得させることになるとして,部分塗装の修理費174万7590円を認めた。
・ 事故によってクレーン先端部分が潰れたクレーン車につき,鈑金修理で足りるとする加害者の主張に対し,溶接補強等による方法ではクレーンの安全性につき疑問なしとしない上,仮に安全性の点で問題ないとしても被害車両の交換価値の十分な回復には至らないとして,部品交換による修理費用として266万円余を認めた。
・ キャンディ・フレーク塗装が施された普通貨物自動車の左後輪後方の車体側面に長さ十数センチメートルの擦過痕が生じた事案について,全塗装の必要性を認めた原判決(修理費294万6910円)を変更し,キャンディ塗装の補修も原則部分塗装で行うものとされ,キャンディ塗装の補修塗装技術も一般的に多用されている3コートパール塗装に類似するものであるとし,特別な色で色合わせが困難であるとしても,面が切り替われば見え方が変わることを踏まえれば,隣接したパネルには,広範囲のぼかし塗装の範囲を取ることで最大にみても,同一面である左側面の全範囲を塗装することで足りるとして35万7000円の修理費を認めた。
・ ランボルギーニのカーボン製バンパーについて,交換修理の必要性を認めず,積層作業による修理費136万9440円を損害と認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:慰謝料(50)

2025-02-14

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

5 慰謝料の増額事由
(3)その他
  ③ 傷害事例
・ 取締役(非該当)につき,頚椎捻挫等で約16ヶ月の通院を余儀なくされ,成功をめざして準備に努めていた事業が頓挫した無念の思い等を考慮し300万円(うち120万円は通院分)を認めた。
・ 会社員につき,妊娠2週目に妊娠に気づかずレントゲン検査を受け人工妊娠中絶を余儀なくされたことの精神的打撃が大きかったとして,頸部・腰部挫傷で100万円(通院55日)を認めた。
・ 公務員につき,加害者であるタクシー会社の担当者が,被害者本人も代理人弁護士も通さず,被害者の勤務先に電話をし,被害者が代理人として弁護士を選任したことなどを非難する言動をしたことにつき,受忍限度を超える独自の不法行為として慰謝料20万円を認めた。
・ 夫経営の飲食店経営会社の取締役で調理担当者(非該当)につき,企業損害は否定したが,頚椎捻挫等により,事故70日後の最終通院日時点では未だ診療の継続が予定され,少なくとも翌日末までは痛みが継続したこと,被害者が稼働できず事故当日店舗を休業し,事故翌月と翌々月も事故前の約8割の売り上げで推移しており,休業の影響を脱していなかったと窺われ,この間の精神的苦痛が増大したと評価すべきこと等を考慮し,単に機械的に通院期間を基準に当てはめるのでは足りないとして,通院期間70日で130万円の通院慰謝料を認めた。
・ 無免許・居眠り運転の自動車が集団登校中の小学生の列に突っ込んだという事故態様,加害者の救護状況,被害者が事故後に不安感による外出困難となり不登校傾向が4年4ヶ月続いたこと等から,頭部打撲傷等及びPTSDで入院3日,通院4年4ヶ月(実日数88日)の小学生(事故時8歳)に傷害慰謝料300万円を認めた。
・ 派遣社員(50歳)につき,入院期間73日,通院期間100日,傷害が比較的重篤,被告加入の任意保険会社の対応により経済的不安に直面し仮払い仮処分の申立を余儀なくされた等の事情を考慮し250万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:愛知県内令和6年交通事故の特徴

2025-02-07

 警察庁によると,令和5年中の全国の交通事故死者数は2663人となり,前年より15人減少しています。
https://www.npa.go.jp/news/release/2025/20250107001jiko.html

 愛知県内の死者数は141人で,昨年より4人減少していますが,今なお多くの尊い命が交通事故で失われ,多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいらっしゃいます。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/kakuteisuu202412.pdf

 死者数を当事者別でみると,歩行者,自転車,バイクが前年に比べ増えています。自転車の死者のうちヘルメットの非装着は95%となっています。
 また,死者数を年齢層別にみると,65歳以上の高齢者は77人となり,死者数全体の約半数を占めています。
 その他,原付以上の信号無視,歩行者妨害が多発増加しています。

 自転車や歩行者が被害に遭う交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながりやすくなります。
 死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われますが,逸失利益は賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。

 高齢者の場合は,仕事をされている方,家事従事者の方,年金を受給して生活されている方など様々な方がいますので,何を基準に逸失利益を算定するかが争点になることが多くあります。
 未就労者(学生,生徒,幼児)の場合は,労働能力喪失期間は原則18歳からとなりますが,大学卒業を前提とする場合は,大学卒業時となります。基礎収入は,若年労働者(事故時概ね30歳未満)として,全年齢平均の賃金センサスを用いるのが原則となっています。
 それ以外の方についても,給与所得者なのか,事業所得者なのか,会社役員なのか,家事従事者なのか,失業者なのか,その方によって算定方法が異なります。また,定年退職直後や生活保護を受給していた等の理由で事故当時は無職であっても,再就職の意欲と蓋然性があれば,死亡逸失利益を請求することができる場合もあります。
 死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な逸失利益を受け取るためには,実績のある交通事故専門の弁護士が交渉することが不可欠です。

弁護士法人しまかぜ法律事務所は,交通死亡事故の解決実績が豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

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