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【コラム】:物損(26)

2025-10-10

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

7.休車損
(3)損害の算定(2)
・ トラクターにつき,被害車両を専属的に運転している運転手が遊休車がないため別の車両の助手として形だけの業務をしている場合の人件費は,休車中も支払を免れない性質の経費と評価できるとして,売上高から控除すべきでないとした。
・ 運送会社の大型貨物車につき,車両が稼働できなかったことによる逸失利益から,車両の運転手が稼働できなかったことにより支払を免れた休日手当,出張手当,調整手当及び時間外手当を差し引いて休車損を算定した。
・ 普通貨物自動車につき,1日あたりの利益は,当該車両の売上高から変動経費のみを控除して固定経費は控除せずに3万8000円とし,休車相当期間は,注文から納車までの3か月程度と新車購入決断までの検討期間1か月程度の合計4か月(120日)として,456万円を認めた。
・ 運送会社の中型貨物自動車につき,売上減少には事故後同種車両を購入せず保有台数を減らしたこと等も寄与していたが,事故後の一定期間車両が使用不能となり車両が稼働していれば得べかりし利益が得られなかったことの寄与も大きかったとし,事故後仮に同種車両を発注していれば納車されたであろう日までの期間60日分,87万円余を認めた。

(4)営業に用いる自家用自動車の休車損(営業損害)
・ 下水道調査用の特殊なTVカメラ等の器具が備え付けられた自家用普通自動車につき,予定していた調査業務を受注できなかったことによる営業損害について,代替品を容易に調達できず,遊休車もなく,事故前後で営業収入の減少が少なくとも,稼働していればより多くの収入が得られていたと認められるとし,当該業務の売上高に事故年度の全国の中小企業全業種平均の売上高総利益率25.02%を乗じた212万1383円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(25)

2025-10-03

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

7.休車損
(3)損害の算定
・ 大型観光バスにつき,稼働状況及び運賃収入は季節による変動があることが容易に予測できるとして,休車時期の前年同期の稼働実績に基づいて,1日当たりの運賃収入を算定した。
・ 営業用普通貨物車につき,代替車搬入までの49日分80万円を請求した事案において,被害者が取引先からの依頼を断ったことはなく,3台の車両と4人の熟練した従業員により本件事故前と同程度の売上を確保していたが,それは被害者の営業努力による面も大きいとして,上記49日間について,被害車による粗利益の30%に相当する23万7008円の休車損を認めた。
・ 炭素微粒子運搬目的のアルミ製タンク搭載の被害特殊車両が,新造タンク取替工事完了までの約1年間運搬業務ができなかった事案につき,炭素微粒子の注文会社から車両1台につき固定費32万円が支払予定だったことや車両代金が約1287万円と高額であること等から遊休車の存在を認めず,配車の手当が全くできなかった事故後8日間分の休車損22万円余の外,他の輸送先工場に指定されていた同種車両を振替えて輸送を再開した事故後9日目以降の約1年間につき,本来指定されていた輸送先工場での振替車両の稼働実績に基づいた870万円余の休車損の合計893万円余を認めた。
・ 運送会社の大型貨物自動車につき,同社保有の事業用自動車は運転手の欠勤等がない限り営業日は全て毎日稼働している状態であること,事故の結果業務の割当を受けられなかったこと,専属運転手も休んで稼働していなかったことから,売上減少がないとの加害者主張を排斥し,事故前3か月間の運賃収入から変動経費である燃料代,通行料及び人件費を控除した金額を基礎として被害車両が使用できなかった39日間につき,休車損89万円余を認めた。
・ 大型貨物自動車(緑ナンバー)が修理のために使用できず,修理期間中に運送を外部に委託した場合につき,委託運送費用から通行料,燃料費等を控除した20万円を休車損と認めた。
・ 1日当たり4万4100円の収入を計上する残土運搬車について,経費率が不明であることから民訴法248条に基づいて,1日当たりの利益を2万5000円とし,52万5000円の休車損を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(24)

2025-09-26

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

7.休車損
(2)休車期間
・ 大型貨物自動車につき,過失割合が争点となったので,現物保存のため当初は修理を見合わしていたこと,話合いが不調におわったため修理に出したところ,当初の予想とは違ってエンジン関係にも大分損傷があることが分かったので廃車にしたことから,92日間の休車期間が不当に長すぎるとはいえないとした。
・ 被害車両が科学的検証のため事故から16日間警察署に留置された事案について,当該期間は公益的見地から国民の義務とされているものだから休車期間に含めるべきではないという加害者側の主張を排斥し,当該期間を含めた修理完了までの95日間について休車損を認めた。
・ 大型冷蔵冷凍車につき,車両の損傷状況等に関する保険会社の調査が事故後約1か月を経過したときに行われたこと,取得した車両を被害車両に替えて使用するには相応の整備を要することから,買い換えに要する相当な期間として4か月間を認めた。
・ エンジン損傷の有無を巡り全損か分損かが争われた事業用大型貨物自動車につき,休車期間には修理費の見積もりに要した期間及び相当な交渉期間を含むとし,損害確認報告書の提示等までに142日を要し,その時点でもエンジン検査をするかどうかなどの協議がされていたことから,被害者が上記提示等を機に買替えを決断したとしても遅いと評価できないとし,上記提示等から1か月後までの173日間における所定労働日123日につき,休車損を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:高齢歩行者の道路横断中の事故に注意

2025-09-19

 愛知県警が作成している「交通事故防止のPOINT R7-⑨」によると,9月~11月は高齢歩行者の道路横断中の死亡事故が増加します。
 https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/R7-9point.pdf

 特に「左からの車」と衝突する事故が多くなっています。これは,右方の安全を確認し横断を始めたものの,認知機能の低下により左方の安全確認が不足していたり,身体機能の低下により横断に時間が掛かるためです。
 横断中も安全確認を行う,発見されやすいように夜間は明るい服装と反射材を活用する,斜め横断・車両の直前直後の横断をしないことが大切ですが,最も事故を防ぐ方法は,少し遠回りでも信号機のある交差点や横断歩道を渡ることです。
 一方,車の運転手は,横断する人を見つけたら速度を落とすこと,早めのライト点灯とハイビームを活用して,交通事故を防止しましょう。
 
 歩行者が被害に遭う交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながりやすくなります。
 死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われますが,就労可能年数(67歳)までの年数が長いほど逸失利益は高額となります。
 
 高齢者の場合は,仕事をされている方,家事従事者の方,年金を受給して生活されている方など様々な方がいますので,何を基準に逸失利益を算定するかが争点になることが多くあります。
 死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。
 なお,定年退職直後や生活保護を受給していた等の理由で事故当時は無職であっても,再就職の意欲と蓋然性があれば,死亡逸失利益を請求することができる場合もあります。

 また,交通事故で一命を取りとめたものの,一定期間,入院・通院した後に亡くなられる場合もあります。このように,入院・通院後に亡くなられた場合,治療費,葬儀費用,死亡逸失利益,慰謝料のほかに,入院・通院に伴う慰謝料等も当然に請求することができます。治療の結果,後遺障害が残り,その後事故とは別の理由で亡くなったとしても,死亡の事実は考慮せずに,事故後生存している場合と同様に後遺障害逸失利益は請求できます。

 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,高齢者の交通死亡事故の解決実績が豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:物損(23)

2025-09-12

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

7.休車損
事故のために営業車(緑ナンバー等)が使用できなくなった場合には,相当なる買替期間中もしくは修理期間中,休車損が認められます。
  休車損が認められるには,遊休車がないことの証明(代わりの営業用車両がなかったか),その車両がいくらの利益を出していたかを証明することが必要ですが,これら証明は容易でなく,一般的に休車損の請求は難しいといわれています。
(1)遊休車・代替車両の存在と損害の発生
・ タクシーにつき,無線配車分の売り上げは1台の事故車が休車中であっても他車に配車されることで8割がカバーされるとして,休車損を算定した。
・ タクシー会社であるから代替車両が存在するのが通常であるのに,休車損の発生について主張立証もないとして,休車損を否定した。
・ 貸切大型バスにつき,遊休車を有していても当該事故車両と同格の遊休車が多数存在しこれを代替することが容易にできる場合を除き,所有者に遊休車を利用してやりくりすべき義務を負わせるのは相当でないとした。
・ タクシー会社につき,事故当時,車両の点検整備・修理や乗務予定の者の欠勤のために稼働させることが出来ない車両を除く全ての車両を常時稼働させていたことが認められることから,被害車両の稼働を他の車両の運行によって補うことが出来たとはいえないとして,運賃収入から,燃料費,修理代,乗務員人件費等の諸経費を引いた額について,4.5日分の休車損を認めた。
・ 被害車両(4tロングトラック)につき,全国展開する引っ越し運送業者であっても,実質的に支社ごとの独立採算制を採用し,配車も支社単位で行われている場合,他支社の遊休車を使用して配車調整をすべきとはいえず,休車損はあるが,事故前の稼働率や利益状況が年度や繁閑の時期によって必ずしも同様でなかったこと等から,民訴法248条の趣旨も含め,休車損の日額を2万3000円とした上で,時価額内で修理が可能な業者を探していたため入庫が遅れた期間を除いた事故後23日間を修理着手までの相当期間として,修理期間45日間と合計した68日間と合計した68日分156万円余を認めた。
・ 事業用自動車(10tユニック車)につき,被害者が他に保有していた積載量(3t,4t,7t,8t)の車で代替できたとは認められないとして,事故前3か月の平均稼働率に稼働1日あたりの収益(運賃収入から人件費,燃料代,修繕費及び道路使用料を控除した金額)を乗じた金額を基礎とし,代替車両納車前日までの52日間につき休車損130万円余を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損(22)

2025-09-05

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

6.代車使用料
(4)その他
・ 代車を友人から借りて現実に出費がない場合に,そのお礼をしようと考えていること,外車で中古車市場に同種の車両が多く出回っていないことから,国産ワゴン車の代車料金等を考慮して日額1万5000円,30日分を認めた。
・ 被害者が経済的全損となった被害車両(時価額71万円,修理費125万円余)の買替までの代車を30万円で購入した場合に,保険会社が確答を怠った期間(事故時から3か月間)レンタカーを使用していればその費用は30万円を下回らないとして,購入費と同額を代車使用料として認めた。
・ タクシー等の利用による交通費は,自宅から勤務先までの費用を中心に,概ね日額1万円程度であるが,実質的には被害車(ポルシェ・ボクスター)を使用できないことによる代車使用に代わるものとも評価できることなどに鑑み,修理のために必要な相当期間についての交通費につき,定期券利用により出損を免れ得た乗車券代相当額を控除した34万1020円の範囲で損害と認めた。
・ 事故で破損したポルシェの代車として使用したのが低い格式のトヨタ・マークⅡであったことを理由とした,より高級な代車のレンタカー代金の請求について,これを排斥し,現実に支出を要した金額に限って認めた。
・ 代車を父から借りて,5か月分100万円を支払った事案につき,当該代車の後継車種のレンタル費用が月額20万1300円とされている例に鑑みて月額15万円を相当とした上で,代車を借りた時点で修理費用が支払われない可能性を認識していたが,修理か買替かを検討するための時間が必要であったとして1か月分15万円の代車費用を認めた。
・ 代車使用中,登録車両限定のETCカードによる高速道路料金割引を受けられなかったために増加した高禄道路料金8万円余を損害と認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

【コラム】:物損について(21)

2025-08-29

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

6.代車使用料
(3)代車の認められる期間(2)
・ 乗用車に衝突された原告会社所有の原動機付自転車の代車費用につき,月額1万2000円で代車を借りているところ,当事者間で本件事故の態様,過失割合に関する対立が深刻であることや訴訟に至る経緯を考慮し,買い替えを要する期間を1か月半とみて1万8000円の代車費用を認めた。
・ BMW(グレード不明,初度登録から1年2か月,時価約495万円)につき,修理部品をドイツから搬送せざるを得ず,3か月という修理期間が不相当に長いとまではいえないとして,約3か月間のレンタカー費用119万円余を認めた。
・ ハイエースにつき,受注生産であり納車まで2か月から2か月半であることを考慮して,約3か月間の代車費用80万円余を認めた。
・ 事故車である従業員送迎用に使用していた大型観光バスにつき,左右側部にわたって損傷が生じ,修理費用も相当高額(464万9940円)であることに加え,修理に必要な部品の調達に約1か月を要するものがあったことも考慮すれば,3か月間の修理期間は必要かつ相当であるとした。
・ タンクローリーにつき,特殊車両であり中古車市場において取り引きするのが困難であるため,別のタンクローリーに買い替える場合,シャーシ(受注生産)のみを買い換えてタンクを載せ換えるという特殊架装を行う場合にも相応の時間を要するものと認められるが,修理見積が出て,実際に修理するのが難しいと分かってから買い換え手続を始めるまでに1,2か月程度掛かっていたことを考慮し,6か月半の代車使用期間のうち,月額19万4400円,4か月分の77万7600円を認めた。
・ 被害者が炎上した車内にて焼死した事故の被害車両(所有者は被害者の夫)につき,夫が事故後の対応に奔走していたことからすると,車両の買換までに期間を要したこともやむ得ない面があり,代車の使用期間が不相当に長期化したとはいえないとして,約3か月間の代車費用15万円余を認めた。
・ 損傷した車両が納車前の新車であり,買主が当該車両とは別の新車の納車を受けるまでの間,売主から代車を借りた事案につき,買主が当該車両を修理した上で使用するのではなく,別の新車の納車を求めるのは当然であり,修理に必要な期間を超えても代車利用の必要性,相当性は欠けないとして,事故発生日から納車までの74日分,19万9800円の代車費用を認めた。
・ 135日代車を使用した事案につき,事故後約1か月程度は,加害者の保険会社担当者との間で,評価損を含む車両損害に関する解決に向けた協議が続けられていたこと等を踏まえ,70日分112万円余を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
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【コラム】:物損(20)

2025-08-22

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

6.代車使用料
(3)代車の認められる期間
・ 代車が加害者側より130日間提供された場合につき,調停での解決が途中で困難であることが被害者に認識できたことを理由に,70日分は被害者が負担すべきだとして損益相殺の対象とし,60日分を認めた。
・ 物損事故の加害者が早期の賠償をしないため,被害者が修理代金を払えず,このために修理業者から留置権を行使され代車期間が延長したとしても,民法419条の金銭賠償の特則の趣旨からして,事故と相当因果関係のある代車使用料は相当期間中のものに限られるとした。
・ 示談を代行する保険会社の担当者が,被害者を納得させるための説明・交渉に時間を要し,修理または買い替え手続きに着手する前の交渉期間中に代車使用料が生じたとしても,合理的期間内の代車料にとどまる限り加害者は代車料を負担する義務があるとして,事故から12日目に保険会社側の最終回答がなされたことをふまえ,事故後約40日間を代車使用期間と認めた。
・ 初度登録から2か月弱,走行距離5232kmのBMW525iにつき,購入後間もなく新車同様であったことから,被害者が買替や買取を求めたことは理由がないことではなく,保険会社の担当者もその検討を約束した後,弁護士から被害者に買替拒否と修理着工が通知されていることから,当該通知がなされるまでの36日と,修理の相当期間47日の合計83日について代車使用料を認めた。
・ 新車又は事故前と同等の損傷のない車両に替えることを要求し,売却価格と新車価格の差額支払いを求めるなど,修理着工の指示が遅れたことに合理的な理由がない場合には,その期間は代車料の支払い義務がないとし,50日分の代車料請求につき33日分を認めた。
・ 代車料の認められる期間は経済的全損であることが判明するまでの期間及びその終期から買替え完了までの間とするのが相当であり,車種(アルファロメオ)等も考慮すると通常1か月程度であるが,保険会社の調査に時間を要し正式見積もりを取るのが多少遅れたとして,40日間84万円の代車料を認めた。
・ 事故日から95日間,日額3000円で代車を使用した事案につき,事故から36日目に被害者の保険会社が加害者の保険会社から全損である旨の連絡を受けたことなどを踏まえ,50日分の代車料を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
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【コラム】:お盆時期に交通事故の被害に遭われたら

2025-08-07

 警察庁によると,令和7年上半期の交通事故交通事故死者数は,1161人となっています。前年に比べ21人減少しています。一方,65歳以上の高齢者の死者数は659人で,前年に比べ9人増加しています。
 特徴としては,状態別死者数は全年齢で「歩行中」は減少しているものの,最多となっています。小学生は「自転車乗用中」が最多となっています。
 https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R7kamihanki_bunseki.pdf
 
 お盆の休暇を利用して,帰省や旅行,海水浴や花火などのレジャーを楽しまれる方が多くいらっしゃると思います。お盆時期は交通量が増加するため交通事故も多発し,毎年多くの方が交通事故の被害に遭われています。
 運転が不慣れな人,免許を取得したばかりの人もいますので,すべてのドライバーが事故が発生しないよう注意が必要です。特に,長時間運転をする予定のある方は,時間に余裕を持った計画を立て,適宜休憩をするなど体調管理を併せた安全行動を取ることが大切です。
 また,近年は高齢者が被害に遭う事故やあおり運転,自転車による事故も多くなっています。
 では,お盆時期に交通事故の被害に遭われたら,どうすればよいでしょうか。

 交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費でお困りになる危険を回避します。
 ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。

 お怪我をされた場合,お盆期間中は医療機関が休診していたり,忙しくて医療機関に受診ができない,交通事故から数日後に痛みが生じた方など,気づいたときには事故から2週間以上経過していることもあります。
 この場合,相手方の保険会社やご自身が加入している人身傷害保険に対して,医療機関への受診を希望しても,事故から2週間以上経過している場合は,初診遅れによる因果関係なしと治療費の対応を拒絶されることがほとんどです。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,初診遅れで治療費の対応を拒絶された場合,初診遅れの意見書を添付の上で,直接,自賠責に治療費や慰謝料などを請求し,保険金を回収しています。

 また,後遺症が残る事案では,保険会社からの賠償額の提示を待ってから弁護士に相談していては遅い場合があります。
 いつ依頼されても弁護士の費用に変わりはありませんので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,早期にご相談ください。

 その他,交通量が増えることで,あおり運転の被害に遭う可能性もあります。
 令和2年6月30日に施行された改正道路交通法では,あおり運転を「妨害運転」として新たに規定されました。他の車両等の通行を妨害する目的での車間距離不保持や不必要な急ブレーキなど10類型が妨害運転となり,取り締まりの対象になります。
 もし,あおり運転の被害に遭ったら,まずは,サービスエリアやパーキングエリア等,交通事故に遭わない場所に避難して,警察に110番通報をしてください。また,あおり運転の加害者から暴行を受けないように,車のドアや窓をロックし,車外に出ないようにしましょう。
 車が損傷したり,事故によって怪我をした場合は,損害賠償を請求することができます。
 あおり運転の立証には,ドライブレコーダーが有効になりますので,ドライブレコーダーの取付をお勧めします。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ドライブレコーダーや事故の現場図を分析して,あおり運転に伴う正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしていますので,お困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:物損(19)

2025-08-01

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

6.代車使用料
(2)代車の種類(グレード)
・ メルセデス・ベンツCLK320カブリオレの代車につき,被害者がキャバクラ店のフロアキャストとして稼働し,通勤手段のほか営業活動のために用いていたことから,メルセデス・ベンツCクラスの自動車を一般のレンタカー業者で手配するのに要する費用の限度で相当な代車料とし,最初の24時間につき3万1320円,その後24時間ごとに2万3760円,86日分合計205万0920円を認めた。
・ トヨタヴェルファイアの代車使用料につき,通勤及びプライベートにおける使用方法(アウトドア,スノーボード等)からすれば同車種を選択したことは不当とはいえず,代車の車種,任意保険担当者から代車を変更してほしいなどの申し入れもなかったことからも日額1万8360円は相当額であり,修理期間31日も部品取寄期間,作業工程,作業の確実性等を考慮すればやむを得ないとして,合計56万9160円を認めた。
・ ポルシェの代車につき,取引先等に行く際に使用しており,代車が安い国産車になると取引先から勘違いされる恐れがあるため,ある程度グレードの高い車両でなければならないという原告の主張を退け,代車は,あくまで修理等に必要な比較的短期間において自動車を使用することができないことによる損害の発生を回避するために限られる代替手段であるから,代車の種類については,使用目的に照らして相当な範囲内で認めるのが相当であるとし,初日の日額を2万9160円,2日目以降の日額を2万1600円として,合計61万2360円を認めた。
・ ワイドロングウイング冷凍車の代車につき,加害者はウイングタイプである必要はなく,日額は2万円程度が相当と争ったが,公設市場では荷物積卸の大幅な時間短縮が可能な同タイプの方が大きかったとして,ウイングタイプの必要性を認め,日額3万8000円,85日分を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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