Archive for the ‘コラム’ Category
【コラム】:逸失利益の基礎収入について(会社役員の算定方法)
後遺症が認定された場合,将来にわたって労働能力が低下して収入が減少するであろう損害(逸失利益)を請求できます。
逸失利益は,①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間によるライプニッツ係数で算定しますが,①基礎収入は,被害者の属性に応じて算定方法が様々ですので,属性に応じて説明を連載しています。
第3回は,会社役員の基礎収入です。
会社役員の基礎収入で問題になることが多いのは, 算定方法です。
役員報酬には,Ⅰ労務対価部分と,Ⅱ利益配当部分の性格があります。会社役員の基礎収入として認定されるのは,Ⅰ労務対価部分での減額のみです。Ⅱ利益配当部分は後遺症によって労働能力が制限されても得られるため,基礎収入として算定されません。
もっとも,小規模会社や,サラリーマン役員など,役員報酬の性格が,Ⅰ労務対価が100%であると認定される場合は,役員報酬全額が基礎収入となります。
問題は,役員報酬の,どの程度が労務対価部分といえるかです。
Ⅰ労務対価部分は,次の項目を総合考慮して認定されます。
ⅰ会社規模
大規模であれば,労務対価の性格は弱くなります
ⅱ会社の利益状況
会社役員の労働能力が制限されたことで,会社がどの程度減収したかです。減収が大きければ,会社役員の労務の程度が大きいと判断されます。
ⅲ役員の地位・職務内容
労務対価として認定できる職務を行っているかです。
ⅳ年齢
労務を想定できないほどの高齢ではないか。同じ年齢の給与所得者はどの程度の給与を得ているかも参考にします。
ⅴ役員報酬の額
同じ年齢の給与所得者とあまりにも金額に差異がある場合,利益配当部分の性格が強いと言えます。
ⅵ他の役員の職務内容と報酬額の比較
他の役員より高額であれば,利益配当部分の性格が強くなります。
ⅶ他の従業員の給与額の比較
従業員は労務対価として給与を得ているため参考になります。
会社役員の基礎収入を算定するために必要な資料は,次のとおりです。
ⅰ法人事業概況説明書
会社規模を把握するためです。
ⅱ決算報告書
会社の利益状況を把握するためです。
ⅲ月次損益計算書
会社の利益状況を把握するためです。
しまかぜ法律事務所では,依頼者の特性に応じてもっとも適正な算定方法で請求を行いま
す。役員報酬の労務対価部分を適正に算定するために必要な資料を,被害者ごとに個別に考えてご案内しています。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の基礎収入について(個人事業主で確定申告をしていない場合)
個人事業主における逸失利益の基礎収入で問題になることの多い,③確定申告をしていない場合について,説明させていただきます。
個人事業を開業したばかりなど確定申告をしていない場合があります。個人事業主の基礎収入は,原則,事故前年の事業所得額+事業専従者控除額or青色申告特別控除額で算定しますので,基礎収入を算定するためには確定申告書が必要ですが,確定申告をしていない場合は,まったく請求できないのでしょうか。
帳簿などから年間売上げや経費が明らかになる場合は,事業所得を算定できるため,確定申告をしていなくても逸失利益を請求できます。
もっとも,開業直後で所得が低い場合もありますので,多くの場合は,同年代の会社員の平均給与(賃金センサス)を参考に認定されることになります。
保険会社は,確定申告をしていないことを理由に基礎収入を低額で提示します。しまかぜ法律事務所では,確定申告をしていない被害者でも事故前は生活を行ってた以上,適正な基礎収入を算定して逸失利益の請求を行っています。
確定申告をしていないことを理由に低額の基礎収入を提示されてお困りの方は,実績豊富なしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の基礎収入について(個人事業主で事故前年の事業所得が思わしくない場合)
個人事業主における逸失利益の基礎収入で問題になることの多い,②事故前年の事業所得が思わしくない場合について,説明させていただきます。
個人事業主における逸失利益の基礎収入は,原則,事故前年の確定申告における事業所得額+事業専従者控除額or青色申告特別控除額で算定します。
しかし,事業開始後間もなく所得が不安定な場合や,事故前年に理由があって所得が思わしくない場合でも,事故前年を基準に算定する必要があるのでしょうか。
逸失利益は,将来における長期間の収入減である以上,所得が思わしくない単年を基準に算定することは適正ではありません。
この場合は,事故前年の単年の所得で算定するのではなく,事故前数年の所得平均で算定する方法が適正です。また,平均賃金である賃金センサスを参考に算定することもあります。
しまかぜ法律事務所では,被害者の事情に応じて,もっとも適正な基礎収入の算定方法を考え,それに基づく逸失利益を請求しています。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の基礎収入について(個人事業主の算定方法)
後遺症が認定された場合,将来にわたって労働能力が低下して収入が減少するであろう損害(逸失利益)を請求できます。
逸失利益は,①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間によるライプニッツ係数で算定しますが,①基礎収入は,被害者の属性に応じて算定方法が様々ですので,属性に応じて説明を連載しています。
第2回は,法人成りしていない経営者や,開業医,弁護士,保険外交員,一人親方,ホステスなど個人事業主です。
個人事業主の基礎収入で問題となることが多いのは, ①算定方法,②事故前年の事業所得が思わしくない場合,③確定申告をしていない場合の算定方法です。
まずは, ①算定方法について説明させていただきます。
個人事業主の基礎収入は,事故前年の事業所得金額+事業専従者控除額or青色申告特別控除額で算定します。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の基礎収入について(給与所得者が退職金を減額された場合)
給与所得者における逸失利益の基礎収入で問題になることの多い,⑤退職金の減額分を請求できるかを,説明させていただきます。
後遺症のために,会社を早期退職せざるを得なかった場合,早期退職による退職金と,定年時に支給予定の退職金との差額を請求することができます。
ただし,単に差額を出すのではなく,退職金を早期受給できた利益を考慮する必要があります。
この利益は,ライプニッツ係数(現価表)において算定します。
例えば,被害者に重篤な後遺症が残って50歳で早期退職を余儀なくされたとして,早期退職金として1200万円受給,定年時(60歳)に支給予定の退職金が2000万円であった場合について,具体的に説明させていただきます。
退職金差額は,2000万円-1200万円=800万円ではありません。
10年早期受給できた利益を考慮する必要があり,10年のライプニッツ係数(現価表)は,0.6139です。
そのため,退職金差額は,2000万円×0.6139-1200万円=27万8000円となります。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の基礎収入について(給与所得者の定年以降について)
給与所得者における逸失利益の基礎収入で問題になることの多い,④定年以降も請求できるかを,説明させていただきます。
逸失利益は,ⅰ基礎収入×ⅱ労働能力喪失率×ⅲ労働能力喪失期間によるライプニッツ係数で算定しますが,ⅲ労働能力喪失期間は、原則として症状固定時点から67歳までの期間です。 勤務先における定年が60歳である場合,60歳までの期間におけるⅰ基礎収入は事故前年の収入額で算定します。
では,定年後61歳から67歳までの期間については,そもそも逸失利益を請求できるでしょうか。また請求できるとして基礎収入をどのように算定すべきでしょうか。
高齢者雇用に対する取り組みが促進されていることや,関連企業へ再就職(天下り)の可能性もあることからすれば,定年以降も逸失利益を請求できます。
次に基礎収入について,⑴事故前年の収入額が,就労年数を通じて相当大きな金額である場合は,高額な収入額を67歳まで維持できるとは想定できませんので,定年以降は,他の社員を参考としながら事故前年の収入額を何割減にしたり,定年以降の年齢における平均賃金額(賃金センサス)を基準とします。
一方で,⑵事故前年の収入額よりも昇給が見込める場合や,関連企業への再就職(天下り)が大いに期待できる場合は,定年以降においても減額することなく基礎収入を算定するのが相当です。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の基礎収入について(給与所得者が昇給予定の場合)
給与所得者における逸失利益の基礎収入で問題になることの多い,③将来昇給が見込まれる場合の算定方法を,説明させていただきます。
基礎収入は原則として事故前年の収入額です。
しかし,逸失利益は,将来にわたって労働能力が低下して収入が減少するであろう損害です。将来の昇給が確実である場合,事故前年の収入額を基準にすることは将来の逸失利益の算定方法として適正ではありません。
裁判例では,将来の昇給を考慮して逸失利益を算定することも少なくありません。裁判例で認定されているのは,昇給基準が明確化されている場合です。例えば,公務員や,昇給規定が明確化している企業に勤務していた場合などです。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の基礎収入について(給与所得者が若年の場合)
給与所得者における逸失利益の基礎収入で問題になることの多い,②若年労働者の算定方法を,説明させていただきます。
逸失利益は,将来にわたって労働能力が低下して収入が減少するであろう損害です。一般的に若年労働者の給与は低額であるため,事故前年の低額な給与を基準に将来の逸失利益を算定するのは適正ではありません。
そこで,多くの裁判例では,30歳未満の若年労働者の基礎収入について,事故前年の給与を基準とするのではなく,全年齢の平均給与を基準に算定しています。
『平成11年11月22日付け交通事故による逸失利益の算定方法に付いての共同提言』(判時1692号162頁以下)において,東京地裁・大阪地裁・名古屋地裁の三庁が同様の提言を行っています。
例えば,男性・大卒・25歳に後遺症が残存し,実際の事故前年の年収が400万円だとしても,400万円を基準とするのではなく,男性・大卒・全年齢の賃金センサスである648万7100円(平成26年賃金センサス)を基礎収入とします。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:逸失利益の基礎収入について(給与所得者の算定方法)
後遺症が認定された場合,将来にわたって労働能力が低下して収入が減少するであろう損害(逸失利益)を請求できます。
逸失利益は,①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間によるライプニッツ係数で算定しますが,①基礎収入は,被害者の属性に応じて算定方法が様々ですので,属性に応じて説明を連載しています。
第1回は,給与所得者の基礎収入です。
給与所得者の基礎収入で問題になることが多いのは, ①算定方法,②若年労働者の算定方法,③将来昇給が見込まれる場合の算定方法,④定年以降も請求できるか,⑤退職金の減額分を請求できるかです。
まずは, ①算定方法について説明させていただきます。
給与所得者の基礎収入は,原則として事故前年の収入額とします。源泉徴収票の税金等を控除される前の金額です。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:休業損害について(無職者で請求可能な場合)
被害者の属性に応じた休業損害を連載させていただいています。
第6回は,無職者(失業者)の休業損害です。
無職者の休業損害で問題になることが多いのは, 請求可能はどのような場合かです。
請求可能はどのような場合かについて説明させていただきます。
休業損害は,原則として,現実に収入減があったことに対する損害です。そのため,事故当時に収入がない無職者の場合,事故を原因とする現実の収入減がないため休業損害を請求できません。
その意味では,将来における収入減をみなしで請求する逸失利益と異なります。逸失利益は現在収入がなくても,みなし算定するため請求可能です。
したがって,無職者であっても逸失利益は請求できますが,休業損害を請求可能な場合は,現実に収入減があると同視できるときに限られます。
例えば,ⅰ就職が内定していた場合や,ⅱ長期治療が必要であっていかに失業中といえどもその期間中には再就職できていたはずの場合です。
ⅰ内定が決まっていた場合は,内定先の給与額を基準に休業損害を請求できまます。
ⅱ長期治療が必要であって再就職ができていたはずの場合は,損害額は失業前の給与額や,失業の経緯,年齢,資格を考慮して算定します。請求の始期については,失業の経緯,年齢,資格などを考慮して算定します。
保険会社は,無職者(失業者)の休業損害を簡単には認めません。無職者(失業中)の休業損害でお困りの方は,実績豊富なしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。
« Older Entries Newer Entries »