【コラム】:自賠責か労災,どちらを使用すべきか
仕事中に交通事故に遭った場合,自賠責だけでなく,労災も使用できます。では,自賠責か労災,どちらを使用すべきでしょうか?
ケースによって異なるため,①相談者の過失割合が小さい場合,②相談者の過失割合が大きい場合,③相手方が無保険の場合に分けて,説明させていただきます。
このページの目次
①相談者の過失割合が小さい場合
自賠責を使用してください。
労災には慰謝料がありません。また,休業損害(休業補償給付)についても,最初の3日分は支払われず,その後も60%分しか支払われません。
そこで,自賠責を使用することがもっとも相談者の利益になります。
②相談者の過失割合が大きい場合
労災を先行して使用して,その後に自賠責を使用してください。
自賠責は,被害者保護の目的で作られた制度です。そこで,3割過失があるから3割減額されるという単純なものではありません(加害者の保険会社と交渉するときのように過失相殺はされません)。
自賠責における過失の減額は(傷害に関して),相談者の過失が7割以上でないと対象になりません。過失が7割以上10割未満の場合,2割減額されることになります。
今回ケース分けした②相談者の過失割合が大きい場合とは,7割以上の過失があって自賠責でも減額されるケースを想定しています。
このケースでは,自賠責に治療費や休業損害を請求すると過失相殺されます。
そこで,労災を先行して使用し,治療費や休業損害を支払ってもらってください。
労災は,過失相殺されません。
しかし,労災には慰謝料がありません。
そこで,労災での治療終了後に,自賠責に慰謝料を請求してください。
このとき注意が必要です。それは,労災は相談者に支払った分を自賠責から回収することになるので(求償),労災が自賠責の120万円枠を使用してしまえば,相談者は自賠責に慰謝料を請求できなくなります。
③相手方が無保険の場合
労災を使用してください。
仕事中や通勤中で交通事故に遭った場合,自賠責か労災を使用すべきかで迷われる方はたくさんいらっしゃるかと思います。
このとき会社や保険会社などに相談する人も少なくないと思いますが,その回答は相談者の利益を優先していない内容になっていないでしょうか。
しまかぜ法律事務所は,相談者の利益を最優先して,もっとも適切なアドバイスを行うことができますので,ぜひ,お気軽にご相談ください。