【コラム】:同乗事故における減額(3)

2026-08-28

1.無償同乗(好意同乗)
(2)同乗者の帰責事由による減額が問題となった事例
同乗者に一定の帰責事由(危険承知,危険関与・増幅等)がある場合には,減額されることがあります。
① 減額を認めなかった事例(2)
 ・ 被害者(女・21歳)が,深夜,男友達から誘われてその男友達を含む3名が乗車していた自動車に同乗したところ,自動車ごと突堤の岸壁から海中に転落して,被害者及び加害運転者を含む3名が死亡した事故につき,被害者は加害運転者とは初対面であり,加害運転者から「第二突堤でも行こうか」「ドリフトでもやろうか」等いわれても,友人同士であった他の同乗者らが誰も特に反応していないことからすれば,被害者において,加害運転者が本当に危険運転をすると想定することは期待できず,事故発生の危険が増大する状況を承知していたとはいえず,積極的に作出・助長した事情もないとして,減額を否定した。
・ 運転免許証を有する2名で運転を交替しながら総勢4名で旅行するため自らの名義でレンタカーを借りた被害者が,前から3列目の助手席側の座席でシートベルトを装着せずに横になって睡眠して同乗中,上記車両が高速道路の防護柵に衝突し横転した事故につき,被害者は加害車両運転者との関係では共同運行供用者であり自賠法3条の他人に当たらないとしたが,共同運行供用者に該当することのみをもって直ちに相殺すべき過失があるとはいえないとして,シートベルト不装着についてのみ過失割合を1割とした。
・ 制限時速60キロの道路を約130キロで走行中の友人運転の自動車に同乗していた被害者が,対向車線から転回してきた加害車に衝突し死亡した事故につき,高速度運転を容認していたと認めるに足りる証拠がない以上,単なる同乗者にすぎず過失相殺の法理を適用するのは相当でないとして,好意同乗減額の主張を排斥した。
・ 制限速度を大幅に超過する時速100キロ以上で走行し駐車車両に衝突した加害車両の後部座席に同乗中の被害者(高校生)が死亡した事故につき,加害者の無謀かつ危険な運転は,専ら加害者の意思のみによって開始されたものであり,被害者がこれを助長ないし誘発するような言動をしたとは認められず,かえって,無謀かつ危険な運転を制止しようとしていたとして,好意同乗による減額を否定した上で,シートベルト不装着についてのみ5%の過失相殺を認めた。
・ 運転者が仮睡状態に陥り赤信号を無視して交差点に進入し,その後部座席に同乗していた被害者が死亡した事故につき,被害者は運転者の疲労を認識していたものの,運転者には運転中に眠気を覚えて前方注視が困難になったときは直ちに運転を中止すべき義務があり,同乗者はそれを期待するのが通常であるから,被害者が危険の引き受けをしたと認めるに足りる事情はないとして,シートベルト不装着と好意同乗とを合わせ2割の過失相殺を認めた一審判決を変更し,シートベルト不装着についてのみ過失割合を1割とした。
・ 信号を無視して交差点に進入した加害者運転のバイクに同乗していた被害者が受傷した事故につき,加害者が従前からバイクで交通法規を遵守しない危険な運転に及ぶことを被害者が把握していたとしても,本件事故当時に危険な運転行為を許容していたなどの事実は認められないとして,好意同乗減額を否定した。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,7年連続交通事故死者数全国ワーストを脱却していますが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,同乗者についても適切な賠償額で解決していますので,ぜひ,一度ご相談ください。

〒460-0002 名古屋市中区丸の内1丁目4番12号 アレックスビル3階
Copyright(c) 2021 弁護士法人しまかぜ法律事務所 All Rights Reserved.