【コラム】:物損(34)

2025-12-19

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

10.積荷その他の損害
(1)積載物(1)
・ トラックの積荷が缶ジュースであった事案につき,積荷積替費,応援車料,積荷荷降ろし費,現場残処理費及び全量廃棄処分としてジュース代の合計237万円余を損害と認めた。
・ 普通乗用車に載せていた古物の壺4個(被害者80万円請求)が破損した事案につき,損害額として40万円を認めた。
・ 筆ペン約16万本を積載した大型貨物自動車の衝突事故で,当該商品を全損と認めて運送保険契約所定の保険金を支払った保険会社が加害者に求償した事案につき,損害たる交換価値の喪失とは,物理的な損傷のみならず,経済的に商品価値を喪失した場合も含むとし,車両が衝突,横転することによって,多数回にわたり大きな衝撃を受けたと考えられるから,外見に傷,汚損等の異常が認められなくても,製品の内部構造に不具合が生じている可能性は払拭できず商品価値が毀損されているとして,本件筆ペンにつき損害が発生していると評価して加害者に負担させるとした。
・ 普通貨物トラックが大型貨物トレーラーに追突し,トレーラーの積荷(おむつ製造機2台,新規制作価格1億1679万円余)が損傷したことにより運送保険契約に基づき保険金を支払った保険会社が,加害者に対して保険代位による請求をした事案で,トレーラー等の荷台に1億円を超える大型の機械設備等が積載されていることは一般人の社会通念から通常予見できないものではないとして求償を認めた。
・ ポリ塩化ビニール輸送中の車両が事故により大破した事案につき,積荷を会社の他の車両に積み替えて運送する必要が生じたとして,積替費用24万4955円を損害として認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

〒460-0002 名古屋市中区丸の内1丁目4番12号 アレックスビル3階
Copyright(c) 2021 弁護士法人しまかぜ法律事務所 All Rights Reserved.