【コラム】:物損(18)

2025-07-25

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

6.代車使用料
相当な修理期間または買い替え期間中,レンタカー使用等により代車を利用した場合に認められます。修理期間は1週間ないし2週間が通例ですが,部品の調達や営業車登録等の必要があるときは長期間認められる場合もあります。

(1)代車の必要性
・ 水産会社に勤務する被害者につき,勤務の性質上,早朝の通勤を要し乗用車を使用する必要性があるとして,最初の33日間はレンタカー使用料日額6000円(1か月15万円),残りの26日間は知人の乗用車を日額3000円で賃借したとして合計額を認めた。
・ 顧客の送迎に使用していた事故車両(ロールスロイス)のほかにスポーツ車(ベンツ)を所有していたとしても,使用目的に照らして代車となりえないとして,代車の必要性を認めた。
・ 将来分の代車使用料の請求につき,保険会社との間で修理の範囲等につき争いがあり,証拠を残すため未修理のまま使用してきたところ,現に訴訟において検証を行っており未修理としておく必要性もあったとして,14日間分の代車使用料33万円余を認めた。
・ 被害者が被害車両以外に2台の外国製車両を含む3台の自動車を所有していたことから,自動車の運転する家族と同居しており,住居地が駅や商業施設から離れていても,代車使用の必要性を認めなかった。
・ 夫の仕事の送迎や買い物をする際に日常的に利用し,賠償義務の存否についての解決がつかず,修理費の協定すらできない状態で修理費着工することが出来なかったとして,67日間の代車使用料112万8600円を認めた。
・ 事故車両と同様の貨物自動車(粉粒体運搬車)を日額5万4000円で借りた事案につき,特殊な車両であり,市場原理によって適正賃料が形成されることは無く,これを下回る価格で賃借できたという証拠はないし,賃借によって営業利益を維持できたのであり,賃借しなければ売り上げの低下分が営業損害となるから,被害者の信義則上の損害拡大防止義務に照らしてもやむを得なかったとして,60日分の合計324万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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