【コラム】:物損(14)

2025-06-20

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

5.評価損
(1)評価損の算定例
② 外国車
   ・ ベンツ(新車引渡から20分後,新車価格722万5000円)につき,修理したと仮定した場合の査定額(401万6000円),中枢部への影響が危惧される衝撃があったことを考慮し,修理費の概ね40%である135万円の評価損を認めた。
・ BMW(初年度登録後2年4か月,走行距離1万5148km,時価約263万円)につき,実際には修理(見積額230万円),下取りをしていない場合に,日本自動車査定協会の査定額37万6605円をもって評価損と認めた。
・ ベンツ500SLオープンカー(平成3年度製,平成11年7月事故)につき,雨漏りという修理によっても回復し難い損傷を与えたとして,当該車両が既に事故前に551万円余で下取りに出されることが決まっていたこと等を考慮して,日本自動車査定協会の事故前推定時価額455万円から当該車両の事故差損査定目的での評価額301万5000円を差し引いた153万円余の評価損を認めた。
・ 外国製大型自動二輪車フェニックス(新規登録後20日,走行距離300km,新車購入価格544万円余)につき,修理費(303万円余)の30%相当である90万円の評価損を認めた。
・ 諸費用込みの代金1599万7848円で購入され,初年度登録から約4か月のポルシェカレラ911につき,代金222万3273円を要した修理完了後も技術的限界から機能上の損傷が完全に回復しておらず,高速走行ができない可能性があるとして,150万円の評価損を認めた。
・ メルセデスベンツE430につき,高級車であることや,事故時に新車登録から4か月しか経過しておらず,走行距離2856km程度であったこと,損傷の程度も極めて大きく高額の修理費を要しているとして,車両修理費713万6800円の3割である214万1040円の評価損を認めた。
・ ランボルギーニ・ディアブロGT(登録後10年弱,走行距離約1万5000km,新車価格3700万円)につき,生産台数が80台の限定車であること,走行距離,修理箇所が躯体などの構造部分に及んでいないことなどを踏まえ,修理費の3割である36万円の評価損を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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