【コラム】:物損(1)

2025-02-21

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

1.修理費
修理費が相当な場合,適正修理費相当額が認められます。修理費は,加害者が加入している保険会社の担当者と修理業者とで協議して,交通事故による破損の範囲を確定し,どの程度の修理が必要なのかを決定します(この作業を「協定」といいます)。
修理費が,車両の時価額(+買い替え費用)を超える場合は経済的全損となり,修理費用ではなく,時価額(+買い替え費用)が損害となります。
また,修理費は,修理を実際に行っていなくても,修理費相当額の損害を受けたとして請求できます。

(1)修理の範囲
・ 車両事故で,部品取替えの方が経済的である等の理由がない以上,鈑金修理(3万2540円)によるべきであるとされた。
・ 購入後約2年のキャデラックにつき,すでに色褪が生じており,全塗装(219万7082円)では過大な費用をかけて原状回復以上の利益を得させることになるとして,部分塗装の修理費174万7590円を認めた。
・ 事故によってクレーン先端部分が潰れたクレーン車につき,鈑金修理で足りるとする加害者の主張に対し,溶接補強等による方法ではクレーンの安全性につき疑問なしとしない上,仮に安全性の点で問題ないとしても被害車両の交換価値の十分な回復には至らないとして,部品交換による修理費用として266万円余を認めた。
・ キャンディ・フレーク塗装が施された普通貨物自動車の左後輪後方の車体側面に長さ十数センチメートルの擦過痕が生じた事案について,全塗装の必要性を認めた原判決(修理費294万6910円)を変更し,キャンディ塗装の補修も原則部分塗装で行うものとされ,キャンディ塗装の補修塗装技術も一般的に多用されている3コートパール塗装に類似するものであるとし,特別な色で色合わせが困難であるとしても,面が切り替われば見え方が変わることを踏まえれば,隣接したパネルには,広範囲のぼかし塗装の範囲を取ることで最大にみても,同一面である左側面の全範囲を塗装することで足りるとして35万7000円の修理費を認めた。
・ ランボルギーニのカーボン製バンパーについて,交換修理の必要性を認めず,積層作業による修理費136万9440円を損害と認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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