【コラム】:慰謝料(46)

2025-01-10

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

5 慰謝料の増額事由
(1)加害者に故意もしくは重過失(無免許,ひき逃げ,酒酔い,著しいスピード違反,ことさらに信号無視,薬物等の影響により正常な運転ができない状態で運転等)または著しく不誠実な態度等がある場合
  ③ 傷害事例
・ 顔面打撲等により期間2か月半(実日数15日)通院した会社員(事故時31歳)につき,被害者に過失がないこと,警察官から目撃者の供述内容を聞いていながら責任を否定し続け,もって被害弁償がなされなかった可能性もあった加害者の態度等を考慮して,70万円を認めた。
・ 加害者の飲酒の上での一方的過失による事故であること,加害者が事故後被害者を救護等せずに現場から逃走したことから,頚椎捻挫,左膝打撲の通院慰謝料(通院期間6か月,実日数70日)140万円を認めた。被害者の加害者らに対する犯人隠避教唆に基づく損害賠償請求について,別途慰謝料50万円が認められている。
・ 徒歩で横断中にクラクションを鳴らされた会社員(事故時41歳)が加害車両へ近づいたところ,加害者が車両を発進衝突させ,被害者をボンネットに乗せたまま12メートル進行し,路上に転落させ,頭部挫傷,左下腿・左手打撲傷を負わせたことにつき,暴行傷害の故意があったこと,事故後逃走したこと等から通院76日分として傷害分130万円を認めた。
・ 左肋骨骨折等で約4か月半(実日数15日)通院した女性(年齢不詳)につき,加害者(事故時18歳)が直ちに110番通報等をせず,母親に身代わりを相談する電話を掛け続け被害者の安否を確認しなかったこと,警察官に運転者は母親であると説明したこと等を考慮して,傷害慰謝料120万円を認めた。
・ 被害者(54歳)につき,事故後に加害者が被害者に対し,繰り返し当たり屋だなどと言ったこと,加害者が事故現場から立ち去ったこと等を考慮し,通院期間7ヶ月の慰謝料85万円に20万円を増額し,105万円の通院慰謝料を認めた。
・ 非接触事故による腰部挫傷等で153日間通院した男子自営業(年齢不詳)につき,加害者が被害者の状況確認・警察への連絡をせずに事故現場を立ち去り,訴訟まで関与を否定し,本人尋問でも記憶に基づくものか疑義のある供述をしたこと等を考慮し,傷害分90万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,5年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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