【コラム】:慰謝料(42)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
5 慰謝料の増額事由
(1)加害者に故意もしくは重過失(無免許,ひき逃げ,酒酔い,著しいスピード違反,ことさらに信号無視,薬物等の影響により正常な運転ができない状態で運転等)または著しく不誠実な態度等がある場合
① 死亡事例
ウ その他
(ウ)高齢者等
・ 主婦(71歳)につき,加害者は貨物自動車を被害者に衝突させて車底部に被害者を巻き込み,衝突の瞬間,傘を持った人に車をぶつけたかもしれないと考えながらも,約33メートル走行させてから停車し,車から降りずに,運転席から上半身を車外に乗り出して右後方を見ただけで発進させ,さらに120メートル引きずったことから,2800万円を認めた。
・ 年金生活者(69歳)につき,加害者が著しい前方不注視で事故を起こしたうえ,事故発生後に現場から逃走し,破損したナンバープレートを捨てるなどの証拠隠滅行為を行い,実刑判決を受けて服役し出所後も損害賠償に応じる姿勢を見せないのは極めて悪質であるとして,本人分2200万円,妻400万円,子3人各100万円の合計2900万円を認めた。
・ 被害者(67歳)につき,加害者が事故直後には謝罪したものの,事故の半年後から衝突の事実を否認し,刑事事件手続では不合理な供述を繰り返すなどしたため,刑事判決確定まで事故から約3年3ヶ月を要したこと等から,本人分2200万円,被害者と同居していた妻400万円,次女300万円,非同居の長女200万円の合計3100万円を認めた。
・ 年金生活者(69歳)につき,歩行中に仮睡状態の加害車両に衝突され側溝に転落して死亡し,相当時間放置されたこと,加害者が救護義務を果たしていないことなどから,本人分2000万円,離婚した元妻との間の子2人各150万円,再婚した妻400万円,再婚した妻の連れ子(養子)200万円の合計2900万円を認めた。
・ 年金生活者(68歳)につき,加害者は,被害者が赤信号で横断していたと捜査機関に誤認させるために虚偽供述を行い,不起訴処分の判断に影響を与えたこと,遺族は真実発見のための情報収集活動を余儀なくされたこと,責任を転嫁する供述により被害者の名誉・遺族の心情が大いに害されたこと等から,本人分2150円,妻400万円,子3人各150万円の合計3000万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,5年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
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