【コラム】:慰謝料(3)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
1 死亡慰謝料
(1)その他
① 独身の男女
・ 単身者(男・17歳・高校生)につき,本人分2200万円,父母各400万円,妹100万円の合計3100万円を認めた。被告がインターネットに原告らを誹謗する記事を書き込んだ点については,別訴が提起されていることに鑑み,交通事故訴訟の慰謝料の算定に当たっては考慮していない。
・ 単身者(男・31歳・スキューバダイビングインストラクター)につき,本人分1800万円,母400万円(922万円余りの扶養利益喪失の損害の他に),弟・妹・娘(離婚した妻が引き取り,毎月4万円の養育費を支払っている)各200万円の合計2800万円を認めた。
・ 単身者(男・19歳・大学生)につき,運転者及び会社のほか,運転者の極度の疲労状態を認識しながら乗車を止めさせなかった会社の運行管理者及びその代務者,適切な是正措置を行わなかった労務管理者にも不法行為責任を認め,死に至る態様が極めて凄惨で残酷なこと,居眠運転で追突したことなどから,本人分2500万円,父300万円の合計2800万円を認めた。
・ 単身者(男・31歳・会社員)につき,一人息子で父親の経営する会社を継ぐべき立場にあったことなどから,本人分2200万円,父母各300万円の合計2800万円を認めた。
・ 単身者(男・19歳・大学生)につき,加害者に救護義務違反があったが,第三者の通報により遅滞なく警察官が到着したとして,本人分2300万円,父母各250万円の合計2800万円を認めた。
・ 単身者(男・18歳・高校生)につき,母は夫と離婚した後被害者およびその妹の親権者として同人らを養育してきたこと,事故後も長期間にわたってその真相ないし実態の解明に努力してきたこと等から,本人分2200万円,母600万円の合計2800万円を認めた。
・ 単身者の姉妹(21歳・会社員,19歳・アルバイト)につき,両親が2人しかいない我が子を一度に失ったこと,はみ出し通行禁止場所において高速度での追越しをしようとした加害者の危険な運転態様等を総合し,本人分各2200万円,父母各600万円の被害者1人当たり合計2800万円を認めた。
・ 単身者(男・31歳・会社員)につき,希望していた鉄道会社に就職後,車掌としても真面目に勤務していたこと,父母思いの優しい息子であり,結婚を誓っていた交際相手もいたことなどから,2800万円を認めた。
・ 単身者(女・17歳・高校生)につき,本人分2500万円,父母及び妹各100万円の合計2800万円を認めた。
・ 単身者(女・15歳・中学生)につき,本人分2200万円,父母各250万円,祖父母・姉妹3名各120万円の合計3300万円を認めた。
・ 単身者(男・19歳・高卒後アルバイト,約1年後に同族会社に勤務予定)につき,加害者が刑事事件手続や民事事件原審まで過失がない旨不合理な弁解を続けていたことを勘案し,本人分2200万円,父母各300万円の合計2800万円を認めた。
・ 単身者(男・19歳・大学生)につき,加害車両には最大積載量の3.4倍を超える積み荷が載せられていた上,加害車両に最大積載量を偽るステッカーを貼るなどの過積載の態様も悪質であったこと等から,本人分と父分を合わせ2800万円を認めた。
・ 大学生(男・21歳・大学3年生)につき,慰謝料を増額するまでの事情はないとしたうえで,本人分2000万円,父母各400万円,姉200万円の合計3000万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
慰謝料は,ご遺族の過ごしてきた関係,どれだけ愛情をもって接してきたかによって大きく増加いたします。
個々のご遺族の無念さを考慮した慰謝料額で解決をすることが大切になりますので,適正な慰謝料での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。