【コラム】:逸失利益の基礎収入について(給与所得者の定年以降について)
2016-08-07
給与所得者における逸失利益の基礎収入で問題になることの多い,④定年以降も請求できるかを,説明させていただきます。
逸失利益は,ⅰ基礎収入×ⅱ労働能力喪失率×ⅲ労働能力喪失期間によるライプニッツ係数で算定しますが,ⅲ労働能力喪失期間は、原則として症状固定時点から67歳までの期間です。 勤務先における定年が60歳である場合,60歳までの期間におけるⅰ基礎収入は事故前年の収入額で算定します。
では,定年後61歳から67歳までの期間については,そもそも逸失利益を請求できるでしょうか。また請求できるとして基礎収入をどのように算定すべきでしょうか。
高齢者雇用に対する取り組みが促進されていることや,関連企業へ再就職(天下り)の可能性もあることからすれば,定年以降も逸失利益を請求できます。
次に基礎収入について,⑴事故前年の収入額が,就労年数を通じて相当大きな金額である場合は,高額な収入額を67歳まで維持できるとは想定できませんので,定年以降は,他の社員を参考としながら事故前年の収入額を何割減にしたり,定年以降の年齢における平均賃金額(賃金センサス)を基準とします。
一方で,⑵事故前年の収入額よりも昇給が見込める場合や,関連企業への再就職(天下り)が大いに期待できる場合は,定年以降においても減額することなく基礎収入を算定するのが相当です。
逸失利益は,一般的に,もっとも高額な賠償項目となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。