【コラム】:物損(9)

2025-05-09

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3.買替差額
(3)所有権留保車両,リース車両等の場合
・ リース車両のベンツが乗用車に追突され,修理費用800万円を超える車両保険金1300万円を取得している者が,リース残価約1727万円から車両保険金受領分1300万円を控除した残額427万円の車両損害を請求した事案につき,リース残価は,物の客観的価値を超える金融の対価として特別損害に当たり,これを特に予見し又は予見し得たという事情があったと認めるに足らないとして,請求を否認した。
・ オートリース契約の貨物自動車につき,所有権侵害に基づく損害賠償請求権は原則としてリース会社に帰属するが,物的損害にかかる損害賠償請求権については使用者が行使しリース会社は行使しない旨の合意があることから,使用者は損害賠償請求権を行使できるとして,損害額は残リース料ではなく,車両の時価評価額を認めた。
・ リース車両が全損となった結果,契約に基づくリース契約解約金(141万2430円)を負担したユーザーが当該解除金全額を加害者に請求した事案につき,加害者は被害者に車両時価を超えるリース契約解約金の損害が発生することも予見可能であったというユーザー側の主張を排斥し,ユーザーは車両の時価(121万7000円)の限度で賠償を受けることができるとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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