【コラム】:物損(5)

2025-03-28

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3.買替差額
物理的または経済的全損,車体の本質的構造部分が客観的に重大な損傷を受けてその買替をすることが社会通念上相当と認められる場合には,事故時の時価相当額と売却代金の差額が認められます。
車両の時価は,原則として同一の車種・年式・型,同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価額です。

(1)買替の要否
・ ベンツ600を修理せずに新車に買い替えた場合につき,事故当時の時価額と事故後の時価額の差額722万8000円は車両損害と認めず,修理費509万円余を車両損害とし,ベンツの安全性をどの程度重視する(どの程度安全性に不安を感じる)かは,もっぱら主観的な問題であるから,買替の費用を加害者に負担させるのは相当とは言えないとした。
・ 価格722万円余の新車ベンツが引き渡しの20分後に追突された場合(未修理状態での下取価格は最高でも130万円)につき,既に一般車両と同様に行動において通常の運転利用に供されていた以上,引き渡し直後だったことは,新車の買い換えを肯定すべき特段の事情とまではいえないとして,新車の買替を前提とした車両損害の請求は認めず,修理費339万円をもって車両損害とすべきであるとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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