【コラム】:物損(4)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
2.経済的全損の判断(2)
・ 10年9か月経過のキャリアカーにつき,税法上の償却期間はすでに経過していたものの,原告会社では新車登録後12年ないし15年の車両が多数走行し,営業に使用されていることから,新車価格1094万円,15年経過後0円とし,定額で減価すると11年後の価値は290万円になるとして,修理費219万0552円を認めた。
・ 事故の約8か月前に130万円で購入したカワサキ・ZRX1200Rの修理費122万7992円につき,同車種・型式・年式の中古車小売価格は新車価格の約85%であると推定されていることから,車両価格を110万5000円と認め,買替諸費用は10万円を超過する場合も多いことから,修理費が車両価格に買い替え諸費用を加えた金額を上回る蓋然性が高いとは認められないとして,修理費をもって車両損害と認めた。
・ 平成18年式ヤマハシグナスXF1(124cc)につき,同一の車種・年式・型のものは市場にはほとんど存在せず,インターネットサイトで取引されている平成19年式の同型のもののうち最も走行距離が長く廉価なものが18万9000円で取引されていることから同額を時価相当額とし,本件事故態様等から修理費は時価相当額及び買替諸費用の合計額を上回るとして,時価相当額及び買替諸費用を損害と認めた。
・ 被害車両の経済的全損,すなわち,適正修理費用が事故前の被害車両の価格及び買替諸費用の合計額を上回ることは,適正修理費用の賠償を免れようとする加害者において立証する必要があるとし,被害車両の本体価格に電動サンルーフ・カーナビ・アルミホイール等の価格及び消費税等の買替諸費用を加算した価格は,適正修理費用を上回り,経済的全損とは認められないとして,同額の修理費用を認めた。
・ 普通自動二輪車(平成16年式,事故は平成25年9月)につき,修理費用は41万6270円程度で,インターネットで同種・同型車を平成16年より年式の古い車に限定して検索すると平均値が33万1863円(19件)であることから,経済的全損として,少なくとも原告主張の33万2000円が時価相当額と認めた。
・ タンクローリー(平成25年式,事故は初年度登録から約4年6か月経過した平成29年9月)の時価につき,購入価格665万円を基準に,平成29年度の自動車平均使用年数が16.71年とされていること,被害者がタンクローリーを1番古いもので十何年間使用している旨を述べていることも考慮し,耐用年数を17年,残存価値を10%として361万円余と認めた。
・ 初年度登録から約6年経過したタクシー用車両につき,同一の車種・年式・型式の平均中古販売価格を元に時価55万円とした上で,タクシー使用に全塗装する場合,40万円前後の塗装費用を要するとし,塗装費用と最低限必要な数万円程度の買替諸費用を加えた価額は修理費用94万9069円を上回るとして修理費の賠償を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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