【コラム】:物損(25)

2025-10-03

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

7.休車損
(3)損害の算定
・ 大型観光バスにつき,稼働状況及び運賃収入は季節による変動があることが容易に予測できるとして,休車時期の前年同期の稼働実績に基づいて,1日当たりの運賃収入を算定した。
・ 営業用普通貨物車につき,代替車搬入までの49日分80万円を請求した事案において,被害者が取引先からの依頼を断ったことはなく,3台の車両と4人の熟練した従業員により本件事故前と同程度の売上を確保していたが,それは被害者の営業努力による面も大きいとして,上記49日間について,被害車による粗利益の30%に相当する23万7008円の休車損を認めた。
・ 炭素微粒子運搬目的のアルミ製タンク搭載の被害特殊車両が,新造タンク取替工事完了までの約1年間運搬業務ができなかった事案につき,炭素微粒子の注文会社から車両1台につき固定費32万円が支払予定だったことや車両代金が約1287万円と高額であること等から遊休車の存在を認めず,配車の手当が全くできなかった事故後8日間分の休車損22万円余の外,他の輸送先工場に指定されていた同種車両を振替えて輸送を再開した事故後9日目以降の約1年間につき,本来指定されていた輸送先工場での振替車両の稼働実績に基づいた870万円余の休車損の合計893万円余を認めた。
・ 運送会社の大型貨物自動車につき,同社保有の事業用自動車は運転手の欠勤等がない限り営業日は全て毎日稼働している状態であること,事故の結果業務の割当を受けられなかったこと,専属運転手も休んで稼働していなかったことから,売上減少がないとの加害者主張を排斥し,事故前3か月間の運賃収入から変動経費である燃料代,通行料及び人件費を控除した金額を基礎として被害車両が使用できなかった39日間につき,休車損89万円余を認めた。
・ 大型貨物自動車(緑ナンバー)が修理のために使用できず,修理期間中に運送を外部に委託した場合につき,委託運送費用から通行料,燃料費等を控除した20万円を休車損と認めた。
・ 1日当たり4万4100円の収入を計上する残土運搬車について,経費率が不明であることから民訴法248条に基づいて,1日当たりの利益を2万5000円とし,52万5000円の休車損を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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