【コラム】:物損(2)

2025-02-28

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

1.修理費
(2)修理未了の場合
・ 1966年製メルセデスベンツ250SEカブリオレの修理費用について,修理する場合に要する費用が損害となるから,修理未了の場合であっても,消費税を控除する理由はないとして,430万0401円を認めた。
・ 修理が可能であるが,修理をせずに下取りに出して買い替えたスバル・インプレッサにつき,消費税分を含む修理費用を損害と認めた。

(3)所有権留保車両,リース車両等の場合
  ・ 名目上の所有権はリース会社にあるが,修理・保守の義務はユーザーが負担することになっていることから,修理費用をユーザーの損害と認めた。
・ 所有権留保車両の修理費について,留保所有権は担保権の性質を有し,所有者は車両の交換価値を把握するにとどまるから,使用者は所有者に対する立替金債務の期限の利益を喪失しない限り所有者による車両の占有,使用権限を排除して自ら車両を占有,使用することができる固有の権利を有し,車両が損壊されれば所有者に対し車両の修理・保守を行い担保価値を維持する義務を負うことから,所有権留保車両の損壊は使用者に対する不法行為に該当し,使用者は加害者に対し物理的損傷を回復するために必要な修理費用相当額の損害賠償を請求することができ,請求にあたり修理の完了を必要とすべき理由はないとした。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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