【コラム】:物損(19)

2025-08-01

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

6.代車使用料
(2)代車の種類(グレード)
・ メルセデス・ベンツCLK320カブリオレの代車につき,被害者がキャバクラ店のフロアキャストとして稼働し,通勤手段のほか営業活動のために用いていたことから,メルセデス・ベンツCクラスの自動車を一般のレンタカー業者で手配するのに要する費用の限度で相当な代車料とし,最初の24時間につき3万1320円,その後24時間ごとに2万3760円,86日分合計205万0920円を認めた。
・ トヨタヴェルファイアの代車使用料につき,通勤及びプライベートにおける使用方法(アウトドア,スノーボード等)からすれば同車種を選択したことは不当とはいえず,代車の車種,任意保険担当者から代車を変更してほしいなどの申し入れもなかったことからも日額1万8360円は相当額であり,修理期間31日も部品取寄期間,作業工程,作業の確実性等を考慮すればやむを得ないとして,合計56万9160円を認めた。
・ ポルシェの代車につき,取引先等に行く際に使用しており,代車が安い国産車になると取引先から勘違いされる恐れがあるため,ある程度グレードの高い車両でなければならないという原告の主張を退け,代車は,あくまで修理等に必要な比較的短期間において自動車を使用することができないことによる損害の発生を回避するために限られる代替手段であるから,代車の種類については,使用目的に照らして相当な範囲内で認めるのが相当であるとし,初日の日額を2万9160円,2日目以降の日額を2万1600円として,合計61万2360円を認めた。
・ ワイドロングウイング冷凍車の代車につき,加害者はウイングタイプである必要はなく,日額は2万円程度が相当と争ったが,公設市場では荷物積卸の大幅な時間短縮が可能な同タイプの方が大きかったとして,ウイングタイプの必要性を認め,日額3万8000円,85日分を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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