【コラム】:物損(16)

2025-07-04

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

5.評価損
(2)所有権留保車両,リース車両等の場合(1)
・ 所有権留保付自動車が損傷したことによる評価損は,車両使用者ではなく,車両の交換価値を把握している所有権留保者が取得するとした
・ 被害者が,割賦払いの最終回の時点において残存するであろう車両価格を最終回の支払い分とし,最終回の支払いに際して同支払額による車両購入,再分割,車両返却のいずれかを選択する制度を利用して車両を購入し,最終回の支払額395万6000円と確認し車両返却を申し出た後に事故に遭い,186万2774円を要する修理後の被害車両の査定価格が255万円とされたため,差額140万6000円の支払いを余儀なくされた場合に,これを特別損害ということはできず,事故による被害車両の価格低下により,追加支払額相当の損害が事故時に現実化したとして,追加支払額を損害と認めた。
  ・ 所有権留保付き売買において代金を完済すれば買主は車両の所有権の変形物として売主が取得した第三者に対する損害賠償請求権を取得するところ,立替金完済までローン会社に所有権が留保されるオートローン(立替払)契約により車両を購入した場合もこれと同様に考えられるとして,事故後に立替金を完済し所有権を取得した者に評価損の請求を認めた。
・ 事故後リース契約を中途解約し,リース会社に対し清算金を支払ったトヨタ・レクサス(初年度登録2年4か月,走行距離4万8315km)につき,レッドブックの価格が800万円を超える高級車であり,損傷がルーフパネル部や足廻り構成部品にも及び,修理費は189万4116円であったこと,リース会社に対し低い査定額に基づく清算金の支払いを余儀なくされたことから,60万円(約32%)の評価損を認めた。
・ 事故前にリース契約の解約申入れをしていたレクサス(新車購入時本体価格1115万円,オプション・付属品込み販売価格1231万円余,登録後2年経過,走行距離2万8947km,事故後提示の中途契約金全額978万円余を支払い権利譲渡を受けた)につき,事故時の時価額をレッドブックにより854万円と認定した上,事故後の売却代金は750万円であることから,損傷修理をしても回復されない交換価値の低下があるとして,評価損として104万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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