【コラム】:物損(12)

2025-05-30

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,車の修理代金や代車使用料などの物損もあります。
 なお,自賠責保険は人身事故のみ対象としており,物損事故による損害は対象外となるため,物損事故による損害は,加害者または加害者が加入している保険会社に請求することになります。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

5.評価損
修理しても外観や機能に欠陥を生じ,または事故歴により商品価値の下落が見込まれる場合に認められます。
評価損は、被害車両の修理内容・車種・登録年度・走行距離などにより算定されます。具体的には,①日本自動車査定協会作成の事故減価額証明書,②事故前と事故後の時価額の差額,③修理費の一定割合で算定する方法があります。

(1)評価損の算定例
① 国産車
   ・ トヨタ・セルシオ(登録後3年弱,走行距離約4万3000km)につき,機能上の不具合があるとして,166万円余の修理費の2割相当33万円余の評価損を認めた。日本自動車査定協会の査定による減価額51万5000円は,評価過程が明らかでないとして,評価損を認めるための十分な証拠とはいえないとした。
・ ホンダ・オデッセイにつき,バンパー凹損,後部タイヤ上後部本体の凹損,右後部から後側部にかけての歪み,マフラーの損傷があった場合に,修理費の2割に相当する4万4734円の評価損を認めた。
・ トヨタ・アルファードGのMS(走行距離4万3974km,時価233万5000円)について,初年度登録から事故時まで約3年半経過しているものの,時価がかなり高価であること,事故による損傷がかなり大きく,基本的構造部分にも及んでおり,修理費用も高額であることから,修理代の約1割である19万2794円の評価損を認めた。
・ 日産GTRプレミアムエディション(国産限定スポーツカー,初年度登録後3か月,走行距離945km,新車購入価格834万円余)につき,リアフェンダーを修理した後もトランク開口部とリアフェンダーの繋ぎ目のシーリング材の形状に差があるなど,事故前と同じ状態には戻らなかったとして,リアバンパー損傷等の修理費の50%相当の70万7739円の評価損を認めた。
・ トヨタ・レクサスLSセダンUSF40(初年度登録後約5か月,走行距離約9099km)につき,骨格部位に損傷が波及していたことなどを考慮し,修理費の40%である40万8525円の評価損を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 物損事故の場合,被害者の加入している車両保険を使用して解決する方もいらっしゃいますが,等級が下がり翌年からの掛け金が高くなります。被害車両の損害状況や過失割合によっては車両保険の使用をお勧めすることもありますが,弁護士費用特約を使用し,弁護士が加害者と交渉することで,適正な賠償額を回収することができます。弁護士費用特約は使用しても等級が変わらず,翌年からの保険料も変わりません。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は物損の解決実績も多くありますので,車両保険を使用して高くなった保険料を払うか,弁護士費用特約を使用して保険料が変わらずに解決できるか,ぜひ,一度ご相談ください。

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