【コラム】:損益相殺・損害の補填等(5)
被害者またはその相続人が事故に起因して何らかの利益を得た場合,当該利益が損害の補填であることが明らかであるときは,損害賠償額から控除する場合があります
3.社会保険給付等がある場合の控除
(1)控除制限
① 客観的範囲(損害費目等との関係)
イ 労災保険等
・ 自賠責保険金及び労災保険金は,人損分の填補に充てられるべきで,物損分の填補に充てられるべきものでないとした。
・ 労災保険法による休業補償給付及び傷病補償年金並びに厚生年金保険法による障害年金によって填補される損害は,財産的損害のうち消極損害(逸失利益)のみであって,これらの給付額を財産的損害のうちの積極損害および精神的損害(慰謝料)との関係で控除することは許されないとした。
・ 労災保険法等による休業補償給付,傷害補償給付は財産上の損害の補填のためにのみなされるものであり,給付された補償金が財産上の損害額を上回る場合であっても,その差額を慰謝料から控除することはできないとした。
・ 労災保険法による療養給付は,治療費,入院雑費を填補するが,入院付添費,将来の通院付添費及び通院交通費は填補しないとした。
・ 労災保険法による障害補償給付は,逸失利益以外の損害填補に充てることは相当でないとした。
・ 労災保険法による療養補償給付には純然たる治療費だけでなく,これに準じる入院費や付添看護費も含まれるので,その限度では損害は填補されたものと認めるのが相当であるとして,事故による治療関係費,付添看護費,入院雑費及び通院交通費につき損害の填補があったものとして損害から控除を認めた。
・ 地方公務員災害補償法による療養補償給付は,治療費と治療用具に係る費用を填補するが,入院雑費や通院交通費は填補しないとした。
・ 労災保険法による療養給付は,治療費等に充当され,入院雑費へは充当されないとした。
・ 労災保険法による療養補償給付は,治療費,入院雑費,入院付添看護費,症状固定後の介護費用に相当する損害に填補されるとした。
・ 労災保険法により療養補償給付は,治療費,入院雑費,器具等購入費,付添看護費に充当され,休業補償給付及び傷害補償給付(障害年金)は両者とも休業損害及び逸失利益に充当されるとした。
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