【コラム】:慰謝料(6)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
1 死亡慰謝料
(1)その他
④ 内縁関係にあった者等
・ 会社員(男・55歳)につき,約9年間事実上夫婦として暮らしていた内縁の配偶者に1000万円を認めた。
・ 55歳で退職後無職,妹と二人暮らしの年金生活者(男・61歳)につき,本人分1900万円,妹300万円,生後まもなく被害者が引き取り父親代わりとして育ててきた姪100万円,合計2300万円を認めた。
・ 女性(年齢不明)につき,法定相続人とは慰謝料1100万円で示談が成立している事案において,民法711条により遺族固有の慰謝料請求権を取得すべき「子」とは実子ないし養子を指すものと解すべきではあるが,養子縁組を経ていない事実上の養子について同条の類推適用が肯定されるとして,内縁の養子2人各450万円,合計900万円を認めた。
・ 料理店女将(女・78歳)につき,本人分1000万円のほか,およそ29年間同居し同料理店を経営していた内縁の配偶者(69歳・妻あり)に,営業損害は認めなかったが,被害者が給与を受けずに尽力していたことなどの事情は慰謝料において評価するのが相当であるとし,妻との婚姻が明らかに破綻していたことなども考慮し1300万円を認めた。
・ 戸籍が判明しない女性(69歳)と約40年間生計を共にしていた内縁の夫につき800万円,幼いころから独立するまで被害者と同居し実施同然に育てられた内縁の夫の子につき100万円,合計900万円を認めた。
(参考)胎児の死亡等
・ 出産予定日の4日前の事故により死産したとして,800万円を認めた。
・ 事故の衝撃により妊娠2か月の胎児が死亡したとして,150万円を認めた。
・ 事故の衝撃により妊娠27週の胎児が死亡したとして,250万円を認めた。
・ 妊婦(母)が受傷したことにより妊娠36週の胎児が死亡したとして,母700万円,父300万円を認めた。
・ 25歳主婦(初産婦,事故後再び妊娠を望み排卵誘発剤等のホルモン投与を受けているが,2年経過しても妊娠に至っていない状況にある)につき,正面衝突でシートベルトが食い込み,胎児(18週)が死亡したとして,350万円を認めた。
・ 41歳主婦が受傷により妊娠12週未満の早期流産したとして,200万円を認めた。
・ 妊娠29週の主婦(19歳)が受傷したことにより胎児が死亡したとして400万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
慰謝料は,ご遺族の過ごしてきた関係,どれだけ愛情をもって接してきたかによって大きく増加いたします。
個々のご遺族の無念さを考慮した慰謝料額で解決をすることが大切になりますので,適正な慰謝料での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。