【コラム】:慰謝料(50)

2025-02-14

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

5 慰謝料の増額事由
(3)その他
  ③ 傷害事例
・ 取締役(非該当)につき,頚椎捻挫等で約16ヶ月の通院を余儀なくされ,成功をめざして準備に努めていた事業が頓挫した無念の思い等を考慮し300万円(うち120万円は通院分)を認めた。
・ 会社員につき,妊娠2週目に妊娠に気づかずレントゲン検査を受け人工妊娠中絶を余儀なくされたことの精神的打撃が大きかったとして,頸部・腰部挫傷で100万円(通院55日)を認めた。
・ 公務員につき,加害者であるタクシー会社の担当者が,被害者本人も代理人弁護士も通さず,被害者の勤務先に電話をし,被害者が代理人として弁護士を選任したことなどを非難する言動をしたことにつき,受忍限度を超える独自の不法行為として慰謝料20万円を認めた。
・ 夫経営の飲食店経営会社の取締役で調理担当者(非該当)につき,企業損害は否定したが,頚椎捻挫等により,事故70日後の最終通院日時点では未だ診療の継続が予定され,少なくとも翌日末までは痛みが継続したこと,被害者が稼働できず事故当日店舗を休業し,事故翌月と翌々月も事故前の約8割の売り上げで推移しており,休業の影響を脱していなかったと窺われ,この間の精神的苦痛が増大したと評価すべきこと等を考慮し,単に機械的に通院期間を基準に当てはめるのでは足りないとして,通院期間70日で130万円の通院慰謝料を認めた。
・ 無免許・居眠り運転の自動車が集団登校中の小学生の列に突っ込んだという事故態様,加害者の救護状況,被害者が事故後に不安感による外出困難となり不登校傾向が4年4ヶ月続いたこと等から,頭部打撲傷等及びPTSDで入院3日,通院4年4ヶ月(実日数88日)の小学生(事故時8歳)に傷害慰謝料300万円を認めた。
・ 派遣社員(50歳)につき,入院期間73日,通院期間100日,傷害が比較的重篤,被告加入の任意保険会社の対応により経済的不安に直面し仮払い仮処分の申立を余儀なくされた等の事情を考慮し250万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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