【コラム】:慰謝料(5)

2023-12-01

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

1 死亡慰謝料
(1)その他
  ③ 高齢者等
   ・ 女性(91歳)につき,医療過誤と競合した事案において,2300万円を認めた。
   ・ 統合失調症の長男と二人暮らしの女性(76歳)につき,心身の病気をかかえた長男の生活を支えていたところ,突然の事故により1級相当の後遺障害を負いその後死亡するに至り,家族らの生活にも大きな影響を与えたことから,傷害分のほか,本人分2200万円,子2人各100万円の死亡分合計2400万円を認めた。
   ・ 年金生活の女性(91歳)につき,2200万円を認めた。
・ 男性(86歳)につき,家業の農業を手伝っていたことについての損害は逸失利益としては評価が困難であることなどから,2300万円を認めた。
・ 女性(75歳・主婦)につき,本人分2500万円,病気により介護を必要とする夫100万円,子2人孫1人各50万円,被害者が介護していた知的障害を持つ孫については,祖母である被害者の死により介護施設への入所を余儀なくされたことなどから300万円,合計3050万円を認めた。
   ・ 女性(83歳・主婦)につき,息子及びその妻子と同居し,家事の多くを行っていたことから,本人分2400万円を認めた。
   ・ 女性(75歳・主婦)につき,加害者は前方注視義務及び信号遵守義務という自転車を運転する際の基本的な注意義務を怠っており,対面する歩行者用信号機の青色灯火に従った被害者には何ら落ち度がないことなどから,本人分2300万円,夫200万円,子100万円の合計2600万円を認めた。
   ・ 主として年金生活の男性(76歳)につき,本人分2200万円,妻200万円,子3人各100万円の合計2700万円を認めた。
   ・ 年金生活の男性(82歳)につき,本人分2300万円,妻120万円,子3人各60万円の合計2600万円を認めた。
   ・ 茶商の男性(94歳)につき,本人分2250万円,妻100万円,子3人各50万円の合計2500万円を認めた。
   ・ 会社経営者の男性(81歳)につき,子らは独立した生計を営んでおり,いわゆる一家の支柱とは同視し難いものの,同族企業2社の代表取締役として精力的に活動しており,その面で果たしていた役割は相当大きかったと推察されるとして本人分2500万円を認めた。
   ・ 年金生活の男性(81歳)につき,本人分2200万円,妻3000万円,子2人各150万円の合計2800万円を認めた。
   ・ 女性(80歳・主婦)につき,本人分2000万円,夫400万円,子2人各100万円の合計2600万円を認めた。
   ・ 宗教法人役員(男・79歳)につき,事故当日入院し翌日死亡したこと,一家の支柱であり,妻が長年夫婦として同居してきたこと等から,入院分も含め,本人分,近親者分を併せて2800万円を認めた。
   ・ 年金収入がある兼業主夫(79歳)につき,子や孫に恵まれ充実した生活を送り,新居で長男家族と同居を始めたばかりであったこと,監査役を務める会社での仕事ぶりも充実していたこと等を考慮し,本人分2200万円,夫200万円,子4名に各100万円の合計2800万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 慰謝料は,ご遺族の過ごしてきた関係,どれだけ愛情をもって接してきたかによって大きく増加いたします。
 個々のご遺族の無念さを考慮した慰謝料額で解決をすることが大切になりますので,適正な慰謝料での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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