【コラム】:慰謝料(47)

2025-01-17

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

5 慰謝料の増額事由
(2)被害者の親族が精神疾患に罹患した場合
・ 被害者(生後6か月)の死亡事故につき,加害者の無免許運転が事故発生の大きな原因であること,不妊治療を受けてようやく出生した子であること,乳母車に乗った子が飛ばされ道路に投げ出される光景を直接目撃した母親がPTSDと診断され今後も治療を継続する必要があること等を考慮し,本人分2100万円,父300万円,母600万円の合計3000万円を認めた。
・ 中学生(12歳)の死亡事故につき,両親が極めて大きい精神的苦痛を受け,母は現在も精神科へ通院していること,加害者が脇見運転という重大な過失により被害者を死亡させながら刑事裁判において不合理な弁解に終始したこと等の事情を考慮し,本人分2000万円,父150万円,母350万円の合計2500万円を認めた。
・ 小学生(9歳)の死亡事故につき,事故直後に被害者の悲惨な状態を目撃した母のPTSD罹患による休業損害等は否定したが母親の精神的打撃が深刻で現在に至るまで継続していること等を考慮し,本人分1800万円,父200万円,母600万円の合計2600万円を認めた。
・ 専門学校生(19歳)の死亡事故につき,母が厳密にはPTSDではないとしても,被害者が悲惨な状況で死亡したことから長期の治療を要する抑鬱的精神症状を呈していること等を考慮し,本人分2000万円,父200万円,母300万円の合計2500万円を認めた。
・ 大学生(20歳)の死亡事故につき,本人分2200万円,息子を失った喪失感等から四十九日が過ぎた頃から精神的に不安定となって自殺を図り,精神科に入退院を繰り返し障害等級2級の障害者手帳の交付を受けている母300万円,父150万円の合計2650万円を認めた。
・ 小学生(7歳)の死亡事故につき,職業ドライバーの信号無視などから,本人分2500万円,父親300万円,心因性のうつ状態を呈し外傷性ストレス障害との診断を受け心療内科への通院を余儀なくされた母400万円の合計3200万円を認めた。
・ 小学生(10歳)の死亡事故につき,本人分2200万円,父母各200万円,姉が目前でトラックに礫過されて死亡するのを目撃し,事故後自動車を恐れ,学校を休みがちになり,姉を助けられなかった自責の念からフラッシュバックや回避行動がみられ,強い不安,抑うつ,不眠等の症状によりプレイセラピーを受け,重度ストレス反応と診断を受けた妹400万円の合計3000万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,6年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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