【コラム】:慰謝料(4)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
1 死亡慰謝料
(1)その他
② 子供,幼児等
・ 事故時妊娠17週の妊婦が,追突事故の1ヶ月半後に体重533グラムの超未熟児として出産した子(死亡時生後7か月)につき,超未熟児であったためライ症候群により死亡したことと事故との間の因果関係を認め,本人分2000万円,父母各100万円,合計2200万円を認めた。
・ 女児(3歳)につき,まだ死の意味すら十分に理解しかねる幼少の身で突然の死を余儀なくされたこと,突然に幼子を失った父母や近親者らにおいてその死を受容しかね呻吟する有様が顕著であることから,本人分2200万円,父母各300万円,合計2800万円を認めた。
・ 男児(3歳)につき,加害者である宅配業者が配達のため被害者宅を訪ねたが,被害者から母親が入浴中と聞いて帰ろうとした際に,追いかけてきた被害者を配達用者両で轢いたという事故態様から過失相殺を否定し,本人分2000万円,父母各300万円,事故を目撃した兄(4歳)200万円,合計2800万円を認めた。
・ 小学生(男・6歳)につき,本人分2200万円,父母各200万円,同居の祖母50万円,兄弟3名各30万円,非同居の祖父母各30万円,合計2800万円を認めた。
・ 女児(5歳)につき,本人分2400万円,父母各300万円,弟100万円,合計3100万円を認めた。
・ 女児(5歳)につき,本人分2200万円,父母各300万円,姉100万円,合計2900万円を認めた。
・ 男児2名(6歳と9歳)につき,加害者が音楽のリズムに合わせて車体を左右に振るべく右に急ハンドルを切ったところ,大きく車体が右側に向き進行制御を失って滑走して歩道上に乗り上げ,歩道上で信号待ちのために立っていた被害者らと衝突したこと等を考慮し,それぞれ本人分2400万円,父母各200万円,合計2800万円を認めた。
・ 小学生(男・9歳)につき本人分として2400万円を,両親は突然小学生の被害者を失い,未だショックを癒やすことができない生活を送っており,兄2名も当時中学1年と小学5年という時期に突然弟を失い,また母親が被害者と一緒にいた兄を責めるなど,多大な苦痛を被っていること等から,父母各300万円,兄2名各150万円,合計3300万円を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,3年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
慰謝料は,ご遺族の過ごしてきた関係,どれだけ愛情をもって接してきたかによって大きく増加いたします。
個々のご遺族の無念さを考慮した慰謝料額で解決をすることが大切になりますので,適正な慰謝料での解決実績が豊富な,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。