【コラム】:慰謝料(39)

2024-11-01

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

5 慰謝料の増額事由
(1)加害者に故意もしくは重過失(無免許,ひき逃げ,酒酔い,著しいスピード違反,ことさらに信号無視,薬物等の影響により正常な運転ができない状態で運転等)または著しく不誠実な態度等がある場合
  ① 死亡事例
イ 母親,配偶者
 ・ 被害者(66歳)につき,交渉段階で加害者の保険会社担当者が被害者の過失割合30%を主張したこと,本訴で加害者が被害者40%の過失相殺を主張したことが過度の過失相殺の主張であり,相当な権利主張の範囲を著しく逸脱するものとして,慰謝料算定の一事由として考慮し,2400万円を認めた。
 ・ 主婦兼アルバイト(43歳)につき,加害者が多量に飲酒し正常な運転が困難な状態で加害車両を走行させ,仮眠状態に陥って本件事故を惹き起こした悪質さ,運転動機の身勝手さ,3人の子の成長を見届けることなく生命を奪われた被害者の無念さ等から,本人分2700万円,夫200万円,子3人各100万円の合計3100万円を認めた。
 ・ 主婦(36歳)とその子である小学生2名(女12歳,男8歳)につき,高速道路渋滞停止中に大型貨物車が時速50km制限のところ,殆ど無制動のまま時速82kmで追突し,夫は一瞬にして最愛の妻と2人の子を失ったことなどを考慮し,主婦本人分2800万円,小学生2人本人分各2500万円,主婦の父母各200万円を認めた。
 ・ 主婦(56歳)につき,工事規制の高速道路上で渋滞のため徐行していた被害者に前方不注視のうえ制限速度を40km超過して走行していた加害者が追突した事故態様等から,本人分2600万円,夫250万円,息子2人各100万円,父50万円の合計3100万円を認めた。
 ・ 小学校教員(50歳)につき,加害車両が居眠り運転に陥り,路側帯内側を歩行中の被害者に衝突させて死亡させた事故態様の悪質性,加害者及びその親族の態度により被害者感情を強めたことなど一切の事情を考慮し,本人分2400万円,夫240万円,子2人各120万円,両親各120万円,結婚するまで共に生活し,結婚後は離れて生活するようになったが,その後も頻繁に交流を持ち,円満な親戚関係を築いていた妹120万円の合計3240万円を認めた。
・ 主婦兼アルバイト(57歳)につき,酒気帯びで夜間にもかかわらず前照灯を灯火せず,制限速度(時速40km)を大幅に超過(時速約81km)し,たばこの火を消すために灰皿に目を落とした前方不注視の事故につき,本人分2200万円,夫300万円,子3人各200万円の合計3100万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,5年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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