【コラム】:慰謝料(36)

2024-10-04

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

4 損害算定困難等を慰謝料で斟酌した事例
(3)逸失利益の算定が困難または不可能な場合
  ① 労働能力喪失が認められないとされた事例
   イ 歯牙障害
(ア)11級の事例
・ 会社員(固定時45歳,脊柱障害11級,歯牙障害11級の併合10級)につき,歯牙障害について逸失利益を認められないことを考慮して,傷害分215万円,後遺障害分700万円を認めた。

(イ)12級の事例
・ 男性(固定時23歳,歯牙障害12級,外貌醜状12級の併合11級)につき,逸失利益を否定し,後遺障害慰謝料として11級の慰謝料額に3分の2加算した額を認めていたが,控訴審で就労の機会や就労可能な職種を狭めたり,労働の意欲を低下させる影響を与えるものではあるが,その程度は大きいものとは認められないとして,逸失利益465万円,後遺傷害慰謝料390万円を認めた。
・ オペレーター(固定時24歳,7歯の歯科補綴12級,顔面醜状12級の併合11級)につき,労働能力に直接的な影響を与えているとまではいえないが,対人関係に消極的となっており,労働意欲その他労働能力に間接的に影響を及ぼしていることから630万円を認めた。

(ウ)14級の事例
・ 専門学校生・アルバイト(固定時19歳,歯牙損傷14級)につき,後遺症が実質的に見て13級に準じて取り扱って差し支えないこと,顔面醜状痕の存在及び歯牙損傷が逸失利益に反映されない点を考慮して,障害分170万円,後遺障害分350万円を認めた。

・ 若年女性(再治療の可能性のある歯牙障害14級,顎関節症非該当)につき,逸失利益は否定したが,170万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,5年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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