【コラム】:慰謝料(34)

2024-09-13

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

4 損害算定困難等を慰謝料で斟酌した事例
(3)逸失利益の算定が困難または不可能な場合
  ① 労働能力喪失が認められないとされた事例
   ア 外貌醜状等
(エ)14級の事例
・ 女児(事故時3歳,左足関節部内側の肥厚性瘢痕14級)につき,痒みや痛みがあること,将来の表皮移植手術費用は実施の有無,費用の算出等が確実なものではなく独立の損害項目として認められないこと,後遺障害の部位程度からみて労働能力に影響を与えると認めるのが困難であること等から,逸失利益が否定されることを斟酌し,傷害分60万円,後遺障害分350万円を認めた。
・ 高校3年生(下肢醜状痕14級)につき,慰謝料と弁護士費用のみを請求し,慰謝料400万円を認めた。
・ アルバイト(固定時23歳,頭部外傷後遺症14級,左肩から胸部の醜状痕14級の併合14級)につき,5年間喪失率5%で逸失利益を認めたうえで,20歳代の未婚女性であることを考慮して180万円を認めた。
・ 小学生(6歳,長管骨の変形12級,右下肢醜状14級の併合12級)につき,醜状障害は直ちに労働能力に影響するものではないが,右下腿の変形及び内側骨棘の程度等から14%の労働能力喪失を認めたうえ,将来手術の可能性や右下腿の長さ14cmの瘢痕等5か所の瘢痕による今後の精神的苦痛は軽視できないとして,傷害分220万円,後遺障害分350万円を認めた。
・ 男児(固定時8歳,左足背部の植皮術後の瘢痕14級)につき,醜状痕は労働能力に直接的な影響がないとして逸失利益を否定したが,精神的苦痛による影響が成長過程にある被害者にとって小さくないこと等を考慮し,傷害分105万円のほか,後遺障害分180万円を認めた。
・ 家事従事者(30代,右上肢の瘢痕14級)につき,労働能力への直接的な影響は認め難いものの対人関係や対外的な活動に消極的になる形で間接的に労働能力に影響をおよぼすおそれが認められ,これを慰謝料の加算事由として考慮し(70万円程度増額),後遺障害分180万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,5年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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