【コラム】:慰謝料(23)

2024-05-31

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

3 後遺症
(1)被害者本人の後遺症慰謝料
  ⑮ 自賠責法の後遺障害に至らないか該当しない事例(2)
   ・ 厨房機器用品の販売等(事故時26歳)につき,下口唇外側の長さ1cmの凹凸を伴う線状瘢痕は非該当だが,顔面の正面で一目で判別できる程度に盛り上がり赤く変色していること,事故前後に接客,営業等を行う職に就き精神的苦痛を被っていることから,男子であるとはいえ慰謝料により慰謝するのが相当な程度に至っているとして,傷害分36万円,後遺障害分60万円を認めた。
   ・ ガソリンスタンド及び宅配従業員(17歳)につき,14級には該当しない程度の上半身及び後頭部に複数の瘢痕等が残存しており,瘢痕は衣服等により隠れる部位であり,労働能力や日常生活に直ちに影響を及ぼすものではないが,プールや銭湯等の利用において相当程度の精神的苦痛を与えるものであるとして,後遺障害慰謝料50万円を認めた。
   ・ 高校1年生(固定時18歳,右小指可動域制限(用廃)13級6号)につき,右小指中節骨開放骨折等により入院5回(計82日)含む治療期間32.5か月(実通院95日)と入院通院期間が高校生活のほとんどを占めたこと,加害車両が事故後停車せず立ち去ったこと等から傷害分350万円を認めた。また,醜状痕(右小指から手背への傷跡10×65mm・5×30mm),右小指の変形,右肘の傷跡70×35mmは,労働能力を喪失させるものとはいえず,慰謝料で考慮されるべきものとして,後遺障害分230万円を認めた。
   ・ 病院勤務(事故時24歳)につき,右上瞼外側の線状痕(約7×1mm程度)は非該当だが,顔面の瘢痕であり,金銭的慰謝が相当というだけの精神的苦痛が生じたとはいい得るものの,大きさに照らし,顕著な精神的苦痛を伴うものとは評価できないとし,後遺障害分20万円を認めた。
   ・ 被害者(年齢不明)につき,長管骨変形に該当しない左手尺骨茎状突起の所見,左手関節の関節可動域の一部制限及び左手の痛み等は,それぞれ後遺障害等級に該当するとまではいえないものの,今後の職業選択にも一定の制限がありうること等を理由に,傷害分150万円,後遺障害55万円を認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,4年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の年齢や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 後遺症は1つ等級が上がるだけで大きく賠償額が変わります。適正な等級認定を獲得するには,できるだけ早い段階から情報を入手して,準備を進めることが大切になります。
 後遺症申請の認定実績が多数あり,適正な後遺症慰謝料での解決している,弁護士法人しまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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